ヨーロッパに学ぶオーディション必勝法

渡仏して以来、
すでに、10回くらい
オーディションと言えるようなものを受けていて、
結果は、五分五分ですが、
ちょっとだけ、
押さえなきゃいけないポイントがわかったので書きたいと思います。
1.堂々とあいさつをするために、稽古をする。
スタジオに入って、まず最初の審査員とのファーストコンタクト。
ここで、しっかり堂々と、
「私はやるだけのことやってきました、準備万全です。」
という身体の状態で、
審査員の前に自然に立てるかが最重要。
もはや、それまでの稽古は、この瞬間に臆せず、
大きな声で自己紹介できるためにするようなもの。
2.審査員に「見られる」のではなく、私が「見せる」「魅せる」
まず、自己紹介のときに、
必ず、全員の目をしっかり見る。
そして、主体を完全に自分に持ってくる。
自分がこれから行うことを、
評価されるのではなく、
自分が、審査員に「見せる」側になる。
3.今まで稽古してきたことは、忘れる
目の前にいる審査員と、自分のパートナーと、その日の空間と、
その場で、クリエーションする。
稽古は、ここで、いかに遠くに飛べるかのための、
基礎固め。
当日は、緊張やプレッシャーがあるのは当然だから、
普段と同じことをやろうと思っても無理。
でも、その緊張をつかえば、
「ミラクル」が起きる可能性はある。
4.「緊張」していることに「安心」する
本番前、「緊張」してパニックになってきたら、
「安心」する。
「緊張してきたぞ、あー、よかった」と思う。
「緊張」と「恐怖」はちがう。
「恐怖」はたぶん、それだけのことをやってきてないから、
単純に「自信」がない。
でも、「緊張」は、「興奮」
やるだけのことをやって来たから、
これから起こることが「未知」
それは、「失敗」だけじゃなくて、
「成功」の可能性も孕んでることを知ってるから、
「緊張」する。
5.「ハプニング」を無視しない
思いもよらない「ハプニング」は、
最大の「チャンス」
絶対に無視しないで、
最後までやりきる。
フランスの審査員は正直。
受け入れられているのか、
いないのか、
手に取るように伝わってくる。
結果ももちろんだけど、
自分の中での、
感覚がたぶん、
一番当てになるような気がします。
最近、わかったことなのですが、
国立のコンセルバトワールの第一次審査では、
選ばれなかった受験者に対して、
ABCDEの五段階評価と、
一言コメントが与えられるそうです。
毎年2000人を超える受験者がいるのに、
なんて優しい待遇でしょう。
そもそも、
「頑張ってない」人なんていない。
それでも、結果が出て、
明暗を分ける。
要は、「頑張ること」を、
続けられるかどうか、
の方が、
「人生」レベルの尺度でみると、
よっぽど大切な気がします。
なんて言ってる私は、
もう落ちるのが怖くて怖くて、
他のことに手が付けられなくなってたり、
してます笑
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とりあえず、散歩。
パリは、もう夏のような陽気です。

美食の街リヨンにて、最終受験。そして、ノスタルジーな私。

昨日は、朝7時の新幹線に乗って、リヨンへ。
リヨンのENSATTというコンセルバトワールの受験でした。
http://www.ensatt.fr/
ここの学校は演劇学校としても歴史が古く、
なんと去年70周年を迎えたそうです。
また、演技コースだけでなく、
美術、音響、照明、衣装、マネージメント、劇作など、
それぞれの部門に別れていて、
規模的にもかなり大きな学校です。
ただ、山の上にあるので、行くまでが大変。
実は、去年の3月に、
いろいろフランス各地のコンセルバトワール巡りをしていて、
この学校でも学生による発表会があったので、
一人でリヨンにやって来ました。
しかし、山の上にある上に、
ホームページ上にのっている、この宝探しのような地図のおかげで
スクリーンショット(2012-05-31 19.43.52)
人に道を聞いても言葉が通じず、
1時間近く迷ったあげく、
着いた頃には、スペクタクルは始まっていて、
中に入ることが出来ませんでした。
泣きそうになりながら、英語で、
「日本から来ました。
受験したいです。」
というようなことを言ってみると、
そこにいた先生が
「まあ、疲れただろうから、
ビールでも飲みなよ。」
とくれて、
そこの生徒たちと先生と何故かピクニックをして、
学校のパンフレットだけもらって、
帰りました。
その学校に、
いま、友達と来てる!
と思ったら、ちょっと感動してしまいました。
受験課題は、
何の制約もなく3分間のシーンを二つ用意してくること。
ただし、モノローグは禁止。
私が、選んだのは、
今までにもやっている、ジョエル・ポムラ『うちの子は』と、
(友達が、うちに赤ちゃんの人形あるから持って来てあげると言われて、
安心してたら…
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ミッフィーでした笑)
ポール・クローデル『マリーのお告げ』
この戯曲は、去年の9月に、
私が15区のコンセルバトワール受験のため、
初めて取り組んだフランス語の戯曲。
何もわからないまま、
一緒に受験してくれた、
フランス語の先生の発音をまねて、
意味もなんとなーく理解して演じていた戯曲。
それが、もう、
全部、自分が何をしゃべっているのかわかって、
相手に、言葉をかけて、
身体に影響を与えていて、
相手にも、言葉をかけられて、
身体に影響を与えられている。
ちょっと胸がいっぱいでした。
ちなみに、リヨンの受験は意地悪で有名らしく、
オーディションの会場は、
すごく狭かったり、
床のきしみが半端でなかったり、
審査員がすぐに、シーンを切ったりなど、
条件的にはかなりの悪条件でしたが、
これは、あくまでわざとのようで、
私たちの「本番」への精神を試されているようです。
試験のあとは、みんなゆっくり山を下って、
リヨンの旧市街へ。
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お決まりのワイン、ボトルを一本開けてから、
近くの公園へ。
すれ違った写真家のお兄さんに教えてもらって、
立ち入り禁止の壊れた網を、
くぐって行ったら、
リヨンで一番綺麗な場所に出ました。
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帰りの新幹線まで2時間の昼寝。
目覚めたら、友達が二人がサクランボの木に登っていて、
摘んで来てくれました。
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みんな、野性的。
初めて、受験概要を、解読したとき、
一番嫌悪を抱いたのが、
「パートナーと一緒に、ダイヤローグのシーンを用意する」
ということ。
なんで、一人で勝手に受験できないのか、
稽古のことも、
友達がいないことも、
人にものを頼むことも、
人に迷惑をかけることも、
なにもかもが、苦痛で、
このシステムを心から憎んでいたけど、
今となっては、演劇も、人生も、
そもそも一人で出来るものじゃなくて、
みんなからも、
受験のパートナーを頼まれるようになって、
すこしでも、お役に立てるようになったら、
なんてことはなくて、
「一人じゃなにもできない」
と、認識すればするほど、
すこしずつ、
本当に、
すこしずつ、
世界が広がる。

波乱の第一志望校への受験!!

公演を終えた翌日、
昨日は、朝5時に友達の車でパリを出発し、
レンヌにあるテアトル・ナショナル・ブルターニュ(TNB)にある、
コンセルバトワールを受験してきました。
10時集合となっていて、
車でパリーレンヌ間は3時間半と言われているので、
余裕のはずだったのですが、
なぜか渋滞もしてないのに、
遅刻ぎりぎり。
3人で大荷物を抱えて、
近くの駐車場から全力で走りました。
そして、なんとか間に合って、
受付をすると、
私たちの順番が、それぞれ2番、3番、4番だったことが判明。
もはや、息もテンションも心拍数も全部あがって、
受験に挑みました。
TNBは、3年に1回15人しか入れないという、
とっても贅沢でとっても難関な学校。
概要:http://www.t-n-b.fr/fr/ecole_tnb/actualites/fiche.php?id=451
前回のグループの中に、数人外国人もいたりして、
ちょっと他のコンセルバトワールとは違う独特な雰囲気があります。
そして、なんと今年、
国立コンセルバトワールの2200人の受験者に匹敵する、
2000人以上が、願書を出したことで、
学校側も、
予想外の事態に大パニックだったようです。
ということで、1次試験はなんと、1ヶ月間。
課題も、急遽ひとつ追加されたり、
試験日程を知らせる通知が10日前に届いたりと、
かなり慌ただしかったです。
私にとっても、運の悪いことだらけだったのですが、
時間がないことは、
大した理由にもいい訳にもならないので、
とにかくやるしかない!
TNBの課題は、
1、指定された劇作家(ラシーヌ、シェイクスピア、モリエール、チェーホフ、ボムラ、ビナベール、ロドリゴ・ガルシア、ラガルス、トポーなど)の中から3分間のシーンをつくってくること。
2、机、椅子、花、ろうそく、果物の中から複数もしくはひとつを使って、”CONFLICT”(対立・葛藤)の概念を3分間の作品にすること。
3、指定されたダイヤローグのシーンから、好きな役を選んで台詞を暗記する。そのあとの指示は当日発表される。(チェーホフの『イワーノフ』『かもめ』、モリエール『タルチュフ』)
課題1は、以前に扱っていたジョエル・ポムラの『うちの子は』。
以前に、発表していて、
後半のモノローグが大好きで、
いつやっても興奮するので、迷わず選択。
謎の全然自由じゃない自由課題は、
ちょっと「ズル」して以下のようなものに。
ピアノの椅子を持って、ご機嫌で登場。
ピアノの椅子の上に正座。
「みなさん、こんにちは。
私は、いま、ここに来ることが出来て、
本当に本当に嬉しいです。
私が、いまどれだけ幸せに満ちていて、
すごく元気だ、ということを表すために、とっても喜劇的な歌舞伎のシーンを発表したいと思います。」
とフランス語で前置きして、
ピアノの椅子の後ろに回り込んで両手で
「ハッ!」とかけ声をかけて、
ピアノの椅子を頭の上にかかげて、
「外郎売」の台詞を大声でしゃべり倒しました。
1分間経過したあたりからが、
「対立・葛藤」の概念の始まり。
笑顔で元気に頑張りたくても、
重くて重くて、
声がおかしいことになってくるし、
手はしびれてくるしで、
「苦しみ」が、舞い降りてきます。
それでも、私は一生懸命「喜び」を出そうとします。
腕が痛くなってしまうので、
ほとんど稽古が出来ず、
3分間ピアノの椅子を持ってられたことはなかったのですが、
当日は、気合いでやりきりました。
審査員も、私も、
途中からめっちゃ笑ってしまって、
本当に楽しかったです。
以上、二つを終えて、
控え室で待っていると、
係の人が、引き続き、試験を受けてください、と言いに来ました。
これが、事実上の2次試験。
私が、課題3で覚えていた『イワーノフ』シーン9の、
TNBの次期ディレクターのエリック・カスカードが以前演出した同じシーンの 
ビデオを観て、演技以外の演出を覚えて、
同じように発表するというもの。
もちろん、パートナーは決めて来ていないので、
それぞれが、ばらばらのシーンを選んでいました。
しかも、その回の受験者で2次にいけたのが、
私と私のパートナーをしてくれていた2人(彼らも受験者)の3人だったので
3人で、それぞれが、
また自分のシーンと他の人のパートナー役を覚えなければならず、
てんやわんや。
しかも、時間は45分くらいしかなかったと思います。
それでも、気の知れあった仲間なので、
「そこ、違う!」
とか、がつがつ言い合ってなんとか、
間に合っていませんでしたが、
TNBの以前、ロメオ・カステルッチが使っていた舞台で、
発表しました。
快感!
この試験が来月の18日まで続くので、
結果は、まだまだ先ですが、
やれるだけのことはしました。
情熱、捨てるな!!!

私のフランスデビュー公演!!

今週の21日に、
パリの高等コンセルバトワール(ESAD)で行われた『Manège』(回転木馬)という公演に出演しました。
この作品は、ESADの生徒の卒業公演でもあり、
それと同時に、
劇場への作品売り込みのプロモーション公演でもありました。
この公演は4月の最初にワーキングインプログレスとして一度公演されており、
その時のキャストの一人が、
体調不良により降板になったことから、
私に、話がきて、
台本を渡されたのですが、
あまりにもパンチが効いてて、
一瞬で気に入ってしまいました。
脚本を書いた生徒は22歳で、
大学で哲学を専攻していて、
今までにも多くの作品を書いているそうです。
しかも、毎回、
観に来たお客さんに、
何か、幼少期に問題があったんじゃないか、と心配されるらしいです笑
私は、4月の終わり位から日本に戻っていて、
稽古があるなら早くフランスに戻るよ、
と、演出家にいっていたのですが、
バカンスは休まないとダメだよ!と、
いかにもフランス的なことを言われたので、
それを鵜呑みにして、
5月6日まで日本でのんびりしてしまいました。
それが、地獄の幕開け。
7日から2週間ノンストップで、
全体稽古と、発音の抜き稽古と、
さらに、私が、日本人であるままやることになったなったので、
脚本改正ミーティングの繰り返しでした。
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夫が自殺して、
夫が死んでしまったことが認められなくて、
精神がおかしくなってしまった母親の役だったのですが、
私がこの役をやることになって、
日本人であることを、
自然体で話になじませるため、
さりげなく、日本語を混ぜたり、
モノローグのシーンでも、
日本語の響きを「音楽」としての効果として使えるよう、
何回も何回も、ディスカッションしました。
そして、本番。
MANEGE-affichette[6]
私にとって、はじめての、
丸ごとの公演。
今までも、コンセルバトワールでのパブリックの発表会などが、
いくつかありましたが、
シーンを抜き取っての公演だったので、
90分間、
8人のメンバーと演出家でつくった作品に、
出演したのは、はじめて。
稽古でも、
とにかく、自分の意見を言わないと、
役者としての仕事を果たせない感じなので、
演技のことより、
作品に、役者として、
どうか関わるかということを常に考えさせられました。
始まる前は、死ぬほど緊張したけど、
始まったら、お客さんの反応が手に取るようにわかって、
自分の発している台詞よりも、
それに対する反応の方がリアリティがあるって、
奇跡だなあ、
とか、思いながら、
公演終了しました。
23日には、
各コンセルバトワールのディレクターや、
劇場ディレクターを招いたプロフェッショナル向けの公演が、
朝10時から行われて、
私は、みんなのウォーミングアップの適当さに、
かなり心配してしまい、
人のことは言えませんが、
やっぱり学生だなあとか、思いました笑
いかに、
朝とか、まだ身体のコンディションがとれてない状態で、
舞台に立つことの恐ろしさがわかっていない!!!
私は、臆病なので、6時前に起きました。
雰囲気的に、
お偉い先生方を前にして、
かなり厳しい環境ではあったけど、
なんとか、乗り切って、
終わったとたん、
皆さん、大満足。
そして、昨日、
この戯曲は、リヨンのコンセルバトワールのに、
最難関と言われている、
劇作家部門があるのですが、
そこの1次試験を通過しました!!
私は、
この作品が、
これからも、動いていくだろうな、と確信しているし、
もう、多分その責任の一部を一緒に背負っている感じです。
公演後の、客だしは、
日本でもフランスでも、
本当に幸せなひとときでした。

落ちた国立コンセルバトワールに潜入!!!

5月末に控えた二つの受験のための作品作りと、
来週頭に行われる、
パリ高等コンセルバトワールの生徒たちの公演のリハーサルとで、
1日12時間リハーサルの日々が続いています。
パリ高等コンセルバトワールでの公演の出演も、
本当は、
区のコンセルバトワールの生徒が参加することは出来ないことになっているのですが、
とにかく、
例外が多い国なので、
出られることになりました。
でも、昨日は、もっとすごい例外が起こりました。
フランス国立コンセルバトワールでは、
生徒たちによる、
作品発表以外、
授業公開などは、一切禁止されているそうなのですが、
なんと、
6月に、コンセルバトワールの劇場で予定されている公演まで、
クラスに混ぜてもらうことになりました!
ゴダールのおかげ。
国立のコンセルバトワールの授業の中に、
「インタプレテーション」という、
解釈・演出を行う授業があって、
このクラスは、5人の先生が受け持っていて、
1年生から3年生まで合同で、
好きな先生のクラスに入るそうです。
私が、昨日お邪魔したクラスでの課題は、
「ゴダール映画へのオマージュ」
そのクラスの先生は、俳優もしていて、
ジーンズに、
ジーンズ生地のジャケットに、
ロン毛に、
カウボーイハット、
という粋な格好で授業をしていました。
私が、受験したときにも、
審査員として、一際目立っていた人で、
私のことも覚えていてくれて、
歓迎してくれました。
各グループ、ゴダールの好きな映画を選んで、
解釈・脚色をして、
脚本を作って、
演劇作品として再構成するそうです。
私が、依頼されてたのは、
ジャン=リュック・ゴダール『メイド・イン・USA』
http://http://ja.wikipedia.org/wiki/メイド・イン・USA
のグループ。
そのなかに出てくる作家の恋人の日本人役です。
以前、国立のコンクールで、
私が美空ひばりの『真っ赤な太陽』を歌ったのを、
覚えていてくれた生徒がいて、
「私、歌めっちゃ下手なんですけど…」
と、あらかじめ伝えたら、
「面白く」日本語の歌が歌える人を探していたから、
大丈夫だそうです。
彼らが、この映画をもとに選んだ歌は、
何故か『夜霧のハニー』…
ゴダールの映画の雰囲気に、ぴったりだそうです。
http://youtu.be/MWDkWoEq3Y4
でも、私は、知らなくて、
その日の通し稽古開始まであと1時間しかなかったので、
とりあえず、
美空ひばり『川の流れのように』を提案。
彼らは、大満足。
フランス人は、美空ひばりが本当に好きなんだなあ。
そのあとすぐに、
クラス全員と先生の前で発表。
フランス演劇界のエリートたちの前で、
緊張しました。
でも、度胸と愛嬌で乗り切りました。
そして、6月の本番も出演することになったので、
そんなこんなで、
それまで、
このクラスとリハーサルに参加できることになりました◎
クラスの雰囲気は、
私が、勝手に想像する『芸能界』みたいな感じでしたが、
圧倒されないように、
頑張ります。