アビニョン演劇祭通信vol.3 正直さみしい客席

カンパニー・オルト、アントン・チェーホフ『熊』
本日、初日!!
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開演30分前に、劇場に向かうと、
ひとつ前の団体が公演を終えて客だししていました。
11時15分、劇場開放。舞台セット。スタンバイ。
11時30分、開場、客入れ。
11時32分、開演。
12時20分、終演。バラシ。
12時30分、退館。

まさに、分刻みのスケジュール。
ただ、このハードスケジュールが可能だったのも、
お客さんがなんと6人しかいなかったからなのです…。
フェスティバル初日で、
「IN」(プロフェッショナルによる招聘公演)もまだ始まっていないので、
アビニョンに来ている人じたいが、まだ少ないのと、
午前中はやっぱり、「たまたま」もしくは「勘」で劇場に足を運ぶ人が少ないことが、
大きな要因だと思います。
ほぼ知り合いゼロの場所で公演するわけですから。
これは、本当に過酷なフェスティバル…
終演後は、念入りにミーティング。
街の中で、いかにうまく宣伝するかを、
黙々と話し合っていました。
とにかく、最初の1週間で、
どれだけ「口コミ」を増やせるかが勝負のようです。
その後、
フェスティバル・オフのステーションに、
関係者カードをもらいに行きました。
ちゃっかり私の分まで用意してくれました。
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このカードは、
フェスティバル・オフに参加している劇団関係者に与えられるもので、
これを提示すると、
通常10€-20€(1,000円から2,000円)くらいする公演が、
半額ぐらいの値段で観られるそうです。
午後は、ペネロップ・アブリルにカフェで取材させてもらいました。
このカンパニーの特徴。
1、若い!(平均年齢23歳)
2、全員がコンセルバトワールの生徒!(役者3人+ミュージシャン3人)
3、役者自らが戯曲翻訳!(現在フランス語で出版されている4冊の翻訳を参考に、再解釈をして、ロシア語から翻訳し直したそうです)
カンパニーの経緯などは、また後ほど。
余談ですが、
終演後に、パン屋さんに寄ってバケットを買ったら、
バケット袋がすごく可愛くて、
ペネロップに見せたら、
「あ、それ、私のパパが描いたの。」
と、さらり。
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彼女のお父さんが、イラストレイターなのは知っていたけど、
びっくり!!
袋の裏をよくよく観たら、
フランソワ・アブリルと描いてありました。
フランスでは、
このようにプロフェッショナルで生計を立てているアーティストに、
割と頻繁に出くわします。
それにしても、可愛い。

アビニョン演劇祭通信vol.2 劇場外宣伝合戦!!

本日の取材は授業のため、夕方から。
カンパニーロルト、
11時半にプレ公演を終えて、
ほっと一息ついてるのかと思ったら、
せっせとチラシ配り。
俳優がチラシを配るとなれば、
もちろん、ひとパフォーマンス要求される。
ということで、
道ばたでも、レストランでも、横断歩道でも、
絶え間ない宣伝合戦。
ここで、この取材の主役、
21歳の若き女優、
ペネロップ・アブリルを紹介。
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公演が始まって、落ち着いたら、
いろんな話を聞かせていただく予定です◎
さて、彼女たちの宣伝合戦の本日の舞台は、
野外レストラン前。
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一緒に作品に出演している、ミュージシャンとともに、
観光客でにぎわうレストランに突撃。
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レストランにいたお客さんも、
手を休めて、しばし注目。
2,3分のミニ・スペクタクルを決行。
そのあとは、パフォーマーたちが、
それぞれのテーブルに回って丁寧に、
お話ししながらチラシを配っていました。
さて、このポストカードくらいの大きさの小さなチラシ、
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「trac」(トラック)と呼ばれるものなのですが、
このtracを配る人=tracteur(トラクター)/tracteuse(トアラクトゥーズ)
という単語まであるそうです。
フェスティバル中には、ひたすら耳にする単語。
終わったら、道ばたで、
パフォーマーとしてではなく、
tracteur/tracteuseとしての反省会。
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帰り道、プレ公演で20人以上お客さんが来た、
と、おしゃべりしながら歩いていると、
他のカンパニーのおじさんたちが、話しかけてきて、
ちょっと立ち話に。
20人は、かなり快挙も数字のようです。
最初の一週間は、
お客さんの作品選びの頼りになるものが、とにかく少ないからです。
戯曲やカテゴリーで選ぶこともありますが、
やっぱり大事なのは、trac!!!
そして、本人たちによる口頭宣伝。
ゼロからの始まりは、
やっぱり、
人の力でしか、
人は動かない、
そして、
人の力なら、
人は動かせるということ。
ちなみに、そのおじさんたち曰く、
去年知り合いのカンパニーでお客さんが、
一人の日があったため、
チケット代を返金して、
別の日に来てもらったとのこと。
何とも、
過酷なフェスティバルだ。
あ、落語だったら、
お客さん、一人でもやるのに!

アビニョン演劇祭通信vol.1 最強のゲネプロ!!

とうとう明日7日から、フェスティバル・アビニョンが始まります。
7月の3日くらいから、徐々に、OFFに参加する劇団が集結し始め、
あっという間に、街は張り紙だらけ。
昨日は、これから私が取材させてもらうカンパニー、
Compagnie l’Aorte(ロルト)の最終舞台稽古を見学させてもらいました。
彼女たちが使う、劇場レスペレートでは、
1日になんと9団体が公演を行います!
劇場HP:http://avignon-theatrelesperluette.fr/salle-1/
タイムスケジュールは、
10:00〜/11:30〜/13:00〜/14:30〜/16:00〜/17:35〜/19:35〜/21:00〜/22:30〜
団体により異なりますが、
上演時間はだいたい1時間。
つまり、30分間で、
客出し→舞台セット/照明変える→客入れ
を行わなければいけないのです。
この明らかに無理と思われる条件は、どこの劇場も一緒。
このあり得ない厚さのプログラムには、
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1150団体分の1150作品が、
劇場ごとに時間を区切って紹介されています。
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毎年、演劇祭中には、
町中のカフェも高校も、はたまた誰かの自宅も、
どこもかしこも劇場になりますが、
ここは、下北沢な感じの小劇場。
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昨日は17時から21時の間劇場を使えることになっていて、
その間にやらなきゃいけないことは、
照明合わせ、舞台セットのバミリ、テクニカルリハーサルetc…
普通だったら、丸1日かかってもおかしくないような行程を、
4時間でやりきっていました。
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照明の明かり作りは、劇場から、2人、技術スタッフとして、
デスクにデータを入力するところまで、
一緒にやってくれるそうですが、
公演中は、すべて劇団のスタッフが操作。
といっても、劇団付のスタッフをつれて来れるほど、
金銭的に余裕のあるカンパニーは少ないので、
「誰か」がやります。
彼女たちのカンパニーの場合は、
今回のプロジェクトには関わってない、劇団員。
ちなみに、劇場にいた2人の技術スタッフは、
普段は役者として、活動しているそうですが、
毎年、フェスティバルの間だけ、
技術スタッフとして雇われているそうです。
つまり、地元の人。
照明も、舞台上のバミリも、舞台裏にある舞台セットも、
なにもかも9団体分…
退出時には、すでに次の団体が、
出口で待ち構えていて、
交代。
劇場の前のバーでは、
劇場のオーナーが、
ピザとお酒を用意して待っていてくれて、
他の8団体と交流。
そして、今日6日は、
無料で行われるプレ公演。
(やるかやらないかは、劇団の判断。)
そして、17時から前夜祭として、
1150団体が、一斉に街でパレードするそうです。
劇場のオーナー曰く、
しっかりした規則があったら、
フェスティバルOFFは、やっていけないとのこと。
なるほどなあ、と思いました。
不平不満を言ったところで、
何も変わらない。
さあ、どうするか。
やるしかない!

アビニョン演劇祭通信始めます 〜序章〜

皆さん、こんにちは。
竹中香子です。
いつの間にか、このブログの主体になっていた、
私の「奮闘記」なるものは、
ひとまずおいておいて、
7月の間、
真剣に、アビニョン演劇祭通信を開始したいと思います。
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私は、いま、アビニョン大学が外国人向けに開講している、
夏の語学研修を受けています。
http://www.univ-avignon.fr/?id=502
語学研修といっても、時期的にも場所的にも、
演劇一色なので、
授業内容は、
演劇祭に関することや、
舞台を観てのディスカッション、
戯曲を読む、
劇評を書くなどなど、
演劇好きにはたまらない授業内容です。
そもそも私は、
演劇祭の間、大学の寮に安く滞在できることを狙って、
授業にも登録したのですが、
授業自体もかなり充実。
演劇理論のクラスや、ついでに実技のクラスまであります。
コース自体は、2日から19日の約3週間なのですが、
なんと終了後も7月31日まで、
寮に滞在可能!
願ってもないチャンスなので、
謎に満ちている、
アビニョン演劇祭「OFF」を解明すべく、
友達のカンパニーに取材を申し込みました。
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http://avignon-theatrelesperluette.fr/salle-1/
快く承諾を経て、
外国人なのに、
カンパニーのコミュニケーション担当に任命されました。
晴れて、劇場の出入り自由!
アビニョン演劇祭概要
公式HP:http://www.festival-avignon.com/
ウィキペディア:http://ja.wikipedia.org/wiki/アヴィニョン演劇祭
とにかく誰でも参加可能な「OFF」の部なのですが、
年々記録を更新していてなんと今年は、
1150団体が、
7月の1ヶ月間ほぼ毎日公演しています!!!
一体どうやってオーガナイズされているんでしょう…
今のところ、
検討もつかないのですが、
とりあえず、
少しずつ、インタビューや取材をして行きたいと思います。

フランスに来て1年が経ちました。

国立コンセルバトワールの受験準備が始まったとき、
ダイヤローグが課題のため、
パートナーがいないと受験が出来ないことがわかり、
誰に頼んでいいかわからず、
フランス語教室の帰り、
近所のしがない中華料理屋で、
従業員の目も気にせず、
豚肉のピリ辛炒めを食べながら、
母に電話して、
「友達いないよう…」
と言ってぐずぐず泣きました。
そのあと、
母親に弱音吐くより、
一か八か、
ちょっと恥ずかしいけど、
同級生に弱音吐こうと思い直し、
クラスでそれまであまりしゃべったことがなかったけど、
いつも見惚れてしまう3年生の女の子に、
「わたし、どうしよう…」
と、言いました。
彼女は、満面の笑みで、
「私も、受験、どうしよう…、ヤバい…」
と、言いました。
次の日、
2人で図書館に行って、
戯曲を読みまくって、
帰り道に、
「一緒にやらない?」
と、言われました。
その日から、
当たり前のように、
私が新しいテキストに取り組むたびに、
発音レッスンをしてくれて、
彼女のシーンに、私が演出をつけ、
彼女が演出する公演に出演を依頼されて、
私の一人芝居のあとは、1時間も感想をいってくれて、
私の受験課題のパートナーをしてくれて、
私も彼女の受験課題ほぼすべてのパートナーをして、
毎回一緒に地方遠征しました。
そんな彼女が、私が一番行きたかった学校に合格して、
3年間パリを離れます。
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仲のいい友達は、変わっていく。
でも、同志は距離も時間も軽々超えて、つながっていられる。
そして、
やっぱり頻繁に日本にいる同志を想う。