泣きべそをかきながら、「限界」の壁をちょっとづつ溶かす。

昨日は、フランスにきてから初めて、
「フランス人」というもの、嫌悪を抱きました。
もちろん、国籍など関係なく、
苦手な人や、嫌いな人はいる訳ですが、
思わず、「フランス人」というくくりを使いたくなってしまいました。
多分、それは、
「フランス人」に対してのステレオタイプとか、
日本人との文化差とか、
そういうところから来るものではなく、
私のことを、「外国人」「日本人」
つまり、「フランス人」以外のものとして、
明確に扱われたからだと思う。
土曜日の特別授業。
先生と、個別に約束をとって、
1時間の個人レッスン。
私は、ラシーヌ『アンドロマック』と、
チェーホフ『ワーニャおじさん』エレーナのモノローグ、
二つの課題があったので、
午前に1時間と午後に2時間の計2時間。
ラシーヌ『アンドロマック』のレッスン中から、
悲劇が突如として始まって、
何故か、先生の態度が激変。
今まで、どちらかというと、かなり可愛がられていると思っていたのですが、
私が、この作品で、
国立のコンセルバトワールとストラスブールのコンセルバトワールを受験すると言った瞬間、
態度が変わって、
ちょっと差別的なことまで言われました。
国立のコンセルバトワールとストラスブールのコンセルバトワールは、
フランス人にとっても別格で、
この2校は、毎年2000人以上の受験者がいると言われています。
卒業後も、俳優としての生活が2年間、
保証されるので、
超エリート校!
つまり、ここまでのエリート校で、
アクセントの問題があったり、
ましてや本質的にラシーヌのフランス語の美しさがわからない、
外国人をとることはない、と言うのです。
日本語で演じた方がいいとまで言われて、
そりゃあ、母国語だからそうだろうよ、と思いました。
後半のチェーホフの個人レッスンでも、
私が考えてきた、演出プランをすべて否定され、
句読点と読点だけを、
考えて読まないと、何を言っているかがわからないと言われました。
実際、まるで語学学校の授業でした。
今まで、こんな風に扱われたことがなかっただけに、
びっくりしてしまい、
とりあえず、泣きまくりました。
夜、冷静になって考えてみると、
昨年の私は、明らかに外国人として、
まるで何もわからないお客さんのように、
フランスの演劇の世界に、
ちょろっとお邪魔していた感じで、
だから、たくさんの優しいおもてなしと歓迎を受けました。
しかし、今年になって、
無意識のうちに、
フランス人と同じ土俵に立って、
もちろんまだまだたくさんのハンデはあるけど、
みんなと同じように戦っていて、
もう可愛いお客さんでは、なくなったのだと思います。
フランス人は、心から自分たちの先人の文化に対して、
もちろん言語も含めて、
敬意を持っている。
だからこそ、
どんなにグローバルに見えるパリでも、
特に文学の分野では、
外国人には、到底触れることのできない
「フランス人」であるということの誇りを持っている。
つまり、この部分にデリケートにならないと、
絶対にやけどをする。
私は、9月から5ヶ月もかけて、
暗記した2ページ足らずのラシーヌのテキストで、
あまりにも自分にとって、困難だったため、
よく頑張った気になってしまっていたけど、
それは、勝手な外国人の「お客さん」の都合で、
軽卒な態度だったのだと思う。
努力では、どうにもならないよな「限界」が見えてしまったときは、
正直、
思いっきり泣いて、
それでも、まだやりたいかどうか、
自分に問いただしてあげるのが、
一番、簡単かも。
悔しくて、やっぱり涙が出てくるんだから、
答えは、明確だ。
何事も、
誠実に、誠実に。

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2件のコメント

  1. you · 1月 18, 2013

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    平家物語を語れと言われても、私にはできません。母国語でも、できないことはあるし、どんな演劇がやりたいのかの違いがあると思います。
     大学院生と大学生のフランス語劇を監修に行ったけど、とても演劇にはなってませんでした。
    台詞の美しさを学ぶなら、テキストを講読すればよいわけだし。演劇は、大衆の側にあるものでありたし。

    いいね

  2. 竹中香子 · 1月 24, 2013

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    どんなに前衛的な演劇がやりたい生徒たちでも、古典を扱うことを避けては通れない、という部分は、素敵だなと、思っています。型を知らずに、型を破るな!的な。多分、フランスの現代演劇って、日本でいう歌舞伎に通じるところがあるんだと思います。現代も、古典もなく、「théâtre」として。
    > 平家物語を語れと言われても、私にはできません。母国語でも、できないことはあるし、どんな演劇がやりたいのかの違いがあると思います。
    >  大学院生と大学生のフランス語劇を監修に行ったけど、とても演劇にはなってませんでした。
    > 台詞の美しさを学ぶなら、テキストを講読すればよいわけだし。演劇は、大衆の側にあるものでありたし。

    いいね

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