『禅 ZEN』『光の雨』などで有名な高橋伴名監督の『BOX 袴田事件 命とは』を、銀座の高架下の映画館シネパトスで見ました。
1966年、実際に起きた袴田事件をもとに、作られた映画です。
ストーリー:昭和41年、放火された静岡県清水市の味噌工場から、刺殺された一家4人が焼死体で見つかるという事件が起きる。立松刑事(石橋凌)は元プロボクサーの従業員袴田(新井浩文)に目を付け、容疑者として逮捕するが物証はとぼしかった。裁判官として静岡地方裁判所に赴任した熊本(萩原聖人)は、主任判事としてこの事件を担当することになる。
http://www.box-hakamadacase.com/
いま、現在も袴田さんは再審請求をしていて出口の、フライヤーとかがたくさんおいてあるラックのところに、署名のための用紙とかも、おいてあってかなり考えさせられました。
映画としては、ちょっと、ん?って思うところもあったけど、
アートがこんなふうに社会と人をつなぐツールになってるっていう意味では、
すごく袴田事件について、わかったし、
あらためて正義とされる存在の暴力性を怖いと思いました。
見終わった後に、高校の時勉強した『狭山事件』を思い出しました。
出身校が、埼玉だったのと社会の先生が凄く熱心だったのとで、
実際に狭山市に行って、石川さん本人と奥様にお会いして、
お話を伺いました。
こういうことって、まず多くの人が事実を知る事からしか何も始まらないから、
この映画にも、狭山に連れてってくれた先生にも感謝したいと思いました。
部落差別が生んだえん罪 狭山事件
いまから37年前の1963年5月1日、埼玉県狭山市で女子高校生が行方不明になり、脅迫状がとどけられるという事件がおきました。警察は身代金を取りにあらわれた犯人を40人もの警官が張り込みながら取り逃がしてしまいました。女子高校生は遺体となって発見され、警察の大失敗に世論の非難が集中しました。
捜査にいきづまった警察は、付近の被差別部落に見込み捜査を集中し、なんら証拠もないまま石川一雄さん(当時24歳)を別件逮捕し、1カ月にわたり警察の留置場(代用監獄)で取り調べ、ウソの自白をさせて、犯人にでっちあげたのです。地域の住民の「あんなことをするのは部落民にちがいない」という差別意識やマスコミの差別報道のなかでエン罪が生み出されてしまったのです。
一審は死刑判決、二審は無期懲役判決で1977年に無期懲役判決が確定し、石川さんはただちに再審請求を申し立てました。第一次再審請求はまったく事実調べもなく棄却。1986年8月に第二次再審請求を東京高裁に申し立てるとともに、すべての証拠の開示と事実調べをおこなうよう東京高裁、東京高検にたいして求めてきました。
しかしながら、1999年7月9日、東京高裁・高木裁判長は事実調べも行なわないままに、抜き打ち的に再審請求を棄却しました。この不当な棄却決定に対し、7月12日、弁護団は直ちに東京高裁に異議申立をおこない、現在に至っています。
http://www.bll.gr.jp/sayama/
実際,冤罪とかにあったら、もう人間なんて全員信じられなくなるだろうと、思っていたのですが、
石川さんは凄く熱心にわたしたちに話をしてくれて、
人って結局どんなにひとに裏切られても、
人と生きてくしか無いんだって、おもって悲しくなりました。
裁判のあり方とか、警察のあり方とか、考えなきゃいけない問題は山済みだけど、
おなじ人間間でおこっているという事が、
一番ぞっとする。