女子としゃべってフランス語特訓〜小栗 左多里『英語ができない私をせめないで! 』

さてさて、
IKEAに行ったり、
家具をもらって来たり、
さらには、
作ってもらったりもしながら、
なんとか、引っ越し終了。
家の近くの教会から、
ひっきりなしに鐘の音が聞こえて、
お洒落だけど、
さいたまっ子の私には、
ちょっとうるさい。
アパートの窓からの景色。
窓から景色
昨日から、『ダーリンは外国人』の著者、
小栗 左多里さんの『英語ができない私をせめないで!』を読みながら、
自分がフランス語と格闘した2年間を思い出したりしました。
さおり
いわゆる「できる」人が書く、
とっておきの参考書、教本と違って、
自称「二ヶ月坊主」の小栗さんの視点は、
とっても、穏やか。
そして、なにより、この視点を、
世の中の大半の人は共有している。
語学において、
一番忘れてはいけないことだと思うのは、
全くしゃべれなくても、
私の実年齢は変わらないということ。
これは、
教える側にも、
教わる側にも、
重要なポイントで、
私は、この感覚で先生を選んできました。
私を、25歳として扱ってくれる先生。
私が、25歳のままでいられる先生。
特に、演劇をする上で、
必要不可欠なのが、
会話と発音。
どちらも、
初級、中級のうちは、
どうしても幼く見られがちなポイントです。
でも、
ここで、
可愛がられたり、
なめられたり、
優しくされたり、
子ども扱いされていては、
25歳の私が、廃る。
最初の1年目は、
どうしても発音のせいで、
幼くなってしまうならと思い、
意図して、
この発音の悪さを利用し、
自分の中では、
25歳の威厳を保ちました。
2年目は、
とにかく発音に力を入れて、
後半から、ネイティブらしく話すことで、
文法がおざなりになってしまうという問題に直面したので、
いかにゆっくり正確に話せるかを心がけました。
そして、2年かかって、
念願の大学入学レベルの「B2」を取得することができました。
いま、一番の課題にしているのは、
「女子トーク」
女の子の女の子だけの会話は、
ヒートアップしてくるとものすごい速さに。
そして、私が、ハンデがあることもおかまいなし。
聞き取れなかったときには、
すぐ聞き返す。
1秒でも遅れると、
もう、このラウンドは完全に見送りすることになってしまう。
命がけの恋バナ。
それは、
もちろん、世界共通、
女の子の一番盛り上がる話題。

石田衣良『シューカツ!』と南仏アパート探し

子どもの時、
石田衣良さんを扱ったドキュメンタリー番組で、
何もかも真っ白にしているという、仕事部屋を見て以来、
おこがましいけど、
その習慣を、
私も、極力まねさせて頂いている。
ちなみに、その時に読んでいたのは、
『うつくしい子ども』
うつくしい
このタイトルに出会って以来、
タイトル、もしくは、劇団名というものに、
絶大な信用を置くようになりました。
そんな、石田衣良さんの最近の作品『シューカツ!』を拝読。
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タイトル通り、
大学3年生の女の子が、学内の仲間と「シューカツプロジェクトチーム」を結成し、
全員で最難関マスコミ合格を目指す話。
フランスに来てから、
2年間、受験生であり、
内容からすれば、かなり、
シューカツ生だった私には、
最も遠く離れたところにいそうで、
実は、恐ろしく身近すぎて、
まっさらな青春小説なのに身震いしながら読みました。
「この1年で、『一生の仕事』を決める」
そんなフレーズを、何度も本文の中に目にしながら、
私は、
9月から始まる新学期に向けて、
モンペリエで、
「3年分のアパートを5日で」決めようとしていました。
住んだこともない土地で、
家賃や治安、なにもかも吟味しなければいけない決断に、
かなりナーバスになる日本人な私に、
フランス人は、一言。
「気に入らなかったら、来年、引っ越しなよ。」
たしかに、フランスでは、
学生向きのワンルームアパートの場合、
家具付のものが多いので、
引っ越しは、日本に比べて断然簡単。
常に、いい物件を探している人も多々。
非正者社員の生涯賃金は1億円に対して、
大企業の正社員なら、2億から2億5千万。
ここを目指すには、新卒のゴールデンチケットを使わなければいけないので、
実質、チャンスは人生で一度きりだそうです。
日本で一番ネックになるもの、
それは、
履歴書の空白時間。
卒業から、就職の間に少しでも、
空白があれば、
きっとどんなにスペシャルなことをしていたとしても、
ゴールデンチケットを逃してしまうのだろう。
フランスに来てから、
時間の感覚がだいぶ変わった。
フランス人は、10代から20代と同じくらい、
20代から30代にかけても、
30代から40代にかけても、
イベント、つまり変化が多い。
大学を3年間で卒業する人なんて、滅多にいないし、
卒業時には、
すでに、
2年間会社で働いた経験がある人もいる。
お金は、
生きていくためではなく、
やりたいことがあるから、必要なもの。
つまり、
やりたいことがあるから働き、
もしくは、
やりたいことがあるから時間を作る。
少しでも、社会のレールから外れて生きていく場合、
自分のやっていることを正当化する哲学がないとやっていけない。
社会に言い訳しながら、
自分には決して言い訳せずに、
踏ん張ること。
自分の一生は、
一回じゃなくて、
何回だってコーディネイトするもの、
し続けるもの。
「この1年で、『一生の仕事』を決める」
決まらなかったら、人生おしまいなのか?
と言われると、
逆に、おしまいじゃないから困る。
私も、26歳という年齢制限を前に、
学校に合格しなかったら人生終わると思いながら、
生きてきましたが、
落ちても落ちても、
人生は終わらない。
だから、困る。
フランスでは、初対面で、
学校や、職業、もしくは、職場を尋ねる代わりに、
”Qu’est ce que vous faites dans la vie?”
シンプルに、
普段「何をしているか」を、尋ねる。
きっと、
恐ろしく大切なことは、
自分のやっていることを、
自分のやってきたことを、
そして、
自分のやりたいことを、
しっかりと、
自分の言葉で相手に伝えられることだと思う。
学生の時、
近所のおばちゃんに、
どうしても、
「演劇」やってます、
って言えなかったことを思い出して、
口の中が、
少しだけ苦くなる。
問題があったら、
また探せばいいか、
と気軽に構えながら、
明日は、
モンペリエにお引っ越し。

原発と恋愛について〜Rebecca Zlotowski監督作品『Grand Central』

パリで現在公開中の映画、
『美しき棘』の監督、レベッカ・ズロトウスキの最新作
カンヌ国際映画祭「ある視点賞」受賞作品、
『グランド・セントラル』を観てきました。
主演は、今年のカンヌで、
アブデラティフ・ケシシュ監督の『La Vie d’Adèle』でパルム・ドールを出演女優として受賞した
レア・セドゥ(Léa Seydoux)と、
タハール・ラヒム (Tahar Rahim)。
GRAND CENTRAL
目に見えないものから、
目をそらさないこと。
目に見えないものを、
しっかり見ようとすること。
これらが、
こんなに恐ろしくて、
だからこそ、
目に見えない早さで悪化していく。
グランド・セントラルとは、
大型発電所のこと。
学歴のない若者たちが、
高額の給料に惹かれ、
原発作業員に応募する。
派手にお金を使いながらも、
毎晩仲間内ではしゃぎながら、
放射能汚染の最前線で仕事を続けていく。


洗っても洗っても落ちない
目に見えない「シミ」は、
「見ないようにする」ことでしか、
消えない。
そんな仲間内で、
作業員として働く女性は、
作業員監督の婚約者でありながら、
新入り作業員と浮気をする。
洗っても洗っても落ちない
目に見えない「情事」は、
「見ないようにする」ことから、
甘く、
美しく、
鮮やかに熟しながら、
腐敗していく。
いま、
私たちが、
見なくてはいけないものは、
「見えない」ものではなく、
「見たくない」もの。
目の前にある
「見える」仕事に覆われて、
「見えない」仕事に取りかかれないのか、
それとも、
「見えない」仕事に取りかかりたくないから、
「見える」仕事に覆われようとするのか。
大人になることは、
取り返せないことが増えること。
そして、
後悔ができなくなること。
恋愛は、
「日常」になればなるほど、
目に見えなくなってくるから、
気づいたときには、
手遅れ。
原発の恐怖も、
きっと同じ。
「日常」になればなるほど、
目に見えなくなっていく。
そして、
「目に見えない」ものほど、
怖いものは、
多分この世に存在しない。
歯がゆいけれど、
いま、
できるのは、
見ようとすること。
見続けようとすること。

はじめてのお仕事 〜第20回BeSeTo演劇祭『三人姉妹』〜

パリは、もうすっかり夏も終わって涼しい陽気になしました。
長いフランスの夏休み。
8月の一ヶ月間は、
午前フランス語の授業、
そして、
午後は、「第七劇場」鳴海康平さん演出『三人姉妹』の稽古に参加させて頂きました。
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今回の役回りは、
アンダースタディーながら、
なんとはじめての、
通訳。
夏休みの稽古は、日本人女優1人と、フランス人俳優6人によって行われました。
さらに、本番までに日本人俳優が2人加わるそうです。
目に見えないもの、
共有していない記憶、
言葉にしていくこと。
逆に、
すでにしっかり成り立っている概念を、
言語を変えて共有すること。
そして、
感覚を表す形容詞の繊細さ。
演出家の言葉は、
踊る。
踊る。
踊る。
駆け回って、
飛び跳ねて、
全速力で通り過ぎて、
見失ったと思ったら、
いつのまにか、
作品に、
とけ込んでいく。
調べても調べても、
溢れてくる言葉の海を、
足がつかないまま、
ばたつきながら、
溺れそうになったり、
たまには、ビート板のおかげですいすい進んだり、
昨日と全く同じ波がやってきて、
うまく乗れたりしながら、
なんとか1ヶ月間にわたる稽古が終了しました。
出演者のサプライズに、
いつも稽古が終わるときに感じるさわさわする気持ちを感じながら、
ワインで乾杯。
へや
本番は、日本での稽古を経て11月2日に新国立劇場小劇場で行われます。
http://dainanagekijo.org/
私は、9月から1年間、学校との約束で、一切外部の公演に関わることができないので、
残念ながら本番観に行くことができません。
この作品は、
しっかり「戦って」いる作品です。
一夜限りの公演なので、
たくさんの方々に劇場に足を運んで頂ければ嬉しいです。
以下詳細。
第20回BeSeTo演劇祭 / BeSeTo+公演 『三人姉妹』
昨年の韓国開催のBeSeTo演劇祭では『かもめ』を上演しましたが、東京開催の今年は
『三人姉妹』を上演します! 鳴海フランス滞在中に現地俳優とともに作り上げた新作、
新国立劇場にて1日限りの公演です。皆様のご来場お待ちしています!
第20回BeSeTo演劇祭 / BeSeTo+公演
日仏協働作品 『三人姉妹』
日時
2013年11月2日(土)19:00
(上演予定時間:90分)
場所
新国立劇場 小劇場
東京都渋谷区本町1-1-1
料金
一般 前売3000円/当日3300円
学生 1500円(前売のみ・当日要学生証)
高校生以下無料(前売のみ)
※未就学児童入場不可

結果報告 vol.2

先週最終試験を受けた、モンペリエの高等コンセルバトワール、
(過去の記事:憧れの南仏にて、地獄の最終選考にようこそ
ENSAD(Ecole Nationale Supérieure d’Art Dramatique de Montpellier)に、
合格しました。
http://www.ensad-montpellier.fr/index.php?p=p41
東京と同じように、
文化の中心地であるパリを離れることは、
非常に抵抗があるし、
いままで、2年間ちょっとずつちょっとずつ築きあげてきた、
暖かく、ぬくぬくし始めて来た「居場所」を離れることは、
本当に怖い。
でも、お世話になった先生方や、
これからお世話になる先生方とも話し合い、
今年1年、すでに授業を半分くらい受けさせてもらっていた
パリのESAD(Ecole Supérieure d’Art Dramatique)ではなく、
モンペリエを選びました。
1982年以後、
フランスでは地方分権改革で、
文化分野における地方自治体への権限移譲が法律上は認められたこともあり、
地方のコンセルバトワールの力は、偉大です。
パリ以外には、
ストラスブール、リヨン、レンヌなど、
地方に10校の高等コンセルバトワールがあり、
2年、もしくは、3年に1度の受験が行われ、
10人から12人の生徒が入学します。
おかげさまで、
9月から、念願の”la Promotion 2016”として、
3年間、勉強していきます。
いつの間にか、羽が生えて、
息切れしながら走らなくても済むように、
しっかり食べて、
しっかり寝て、
しっかり遊びながら、
好きで好きでたまらない演劇の最後の3年間の授業を受けてきます。
正直、ENSADに受かるなんてミラクルでしかない。
でも、ミラクルがいつまでたってもミラクルのままだったら、
ミラクルなんて起こさない方がいい。
ということで、ミラクルを起こした責任をしっかりとってきます。
今年も、美しいものにたくさん出会えることを願って。