美食の街リヨンにて、最終受験。そして、ノスタルジーな私。

昨日は、朝7時の新幹線に乗って、リヨンへ。
リヨンのENSATTというコンセルバトワールの受験でした。
http://www.ensatt.fr/
ここの学校は演劇学校としても歴史が古く、
なんと去年70周年を迎えたそうです。
また、演技コースだけでなく、
美術、音響、照明、衣装、マネージメント、劇作など、
それぞれの部門に別れていて、
規模的にもかなり大きな学校です。
ただ、山の上にあるので、行くまでが大変。
実は、去年の3月に、
いろいろフランス各地のコンセルバトワール巡りをしていて、
この学校でも学生による発表会があったので、
一人でリヨンにやって来ました。
しかし、山の上にある上に、
ホームページ上にのっている、この宝探しのような地図のおかげで
スクリーンショット(2012-05-31 19.43.52)
人に道を聞いても言葉が通じず、
1時間近く迷ったあげく、
着いた頃には、スペクタクルは始まっていて、
中に入ることが出来ませんでした。
泣きそうになりながら、英語で、
「日本から来ました。
受験したいです。」
というようなことを言ってみると、
そこにいた先生が
「まあ、疲れただろうから、
ビールでも飲みなよ。」
とくれて、
そこの生徒たちと先生と何故かピクニックをして、
学校のパンフレットだけもらって、
帰りました。
その学校に、
いま、友達と来てる!
と思ったら、ちょっと感動してしまいました。
受験課題は、
何の制約もなく3分間のシーンを二つ用意してくること。
ただし、モノローグは禁止。
私が、選んだのは、
今までにもやっている、ジョエル・ポムラ『うちの子は』と、
(友達が、うちに赤ちゃんの人形あるから持って来てあげると言われて、
安心してたら…
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ミッフィーでした笑)
ポール・クローデル『マリーのお告げ』
この戯曲は、去年の9月に、
私が15区のコンセルバトワール受験のため、
初めて取り組んだフランス語の戯曲。
何もわからないまま、
一緒に受験してくれた、
フランス語の先生の発音をまねて、
意味もなんとなーく理解して演じていた戯曲。
それが、もう、
全部、自分が何をしゃべっているのかわかって、
相手に、言葉をかけて、
身体に影響を与えていて、
相手にも、言葉をかけられて、
身体に影響を与えられている。
ちょっと胸がいっぱいでした。
ちなみに、リヨンの受験は意地悪で有名らしく、
オーディションの会場は、
すごく狭かったり、
床のきしみが半端でなかったり、
審査員がすぐに、シーンを切ったりなど、
条件的にはかなりの悪条件でしたが、
これは、あくまでわざとのようで、
私たちの「本番」への精神を試されているようです。
試験のあとは、みんなゆっくり山を下って、
リヨンの旧市街へ。
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お決まりのワイン、ボトルを一本開けてから、
近くの公園へ。
すれ違った写真家のお兄さんに教えてもらって、
立ち入り禁止の壊れた網を、
くぐって行ったら、
リヨンで一番綺麗な場所に出ました。
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帰りの新幹線まで2時間の昼寝。
目覚めたら、友達が二人がサクランボの木に登っていて、
摘んで来てくれました。
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みんな、野性的。
初めて、受験概要を、解読したとき、
一番嫌悪を抱いたのが、
「パートナーと一緒に、ダイヤローグのシーンを用意する」
ということ。
なんで、一人で勝手に受験できないのか、
稽古のことも、
友達がいないことも、
人にものを頼むことも、
人に迷惑をかけることも、
なにもかもが、苦痛で、
このシステムを心から憎んでいたけど、
今となっては、演劇も、人生も、
そもそも一人で出来るものじゃなくて、
みんなからも、
受験のパートナーを頼まれるようになって、
すこしでも、お役に立てるようになったら、
なんてことはなくて、
「一人じゃなにもできない」
と、認識すればするほど、
すこしずつ、
本当に、
すこしずつ、
世界が広がる。

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