結果報告 vol.2

先週最終試験を受けた、モンペリエの高等コンセルバトワール、
(過去の記事:憧れの南仏にて、地獄の最終選考にようこそ
ENSAD(Ecole Nationale Supérieure d’Art Dramatique de Montpellier)に、
合格しました。
http://www.ensad-montpellier.fr/index.php?p=p41
東京と同じように、
文化の中心地であるパリを離れることは、
非常に抵抗があるし、
いままで、2年間ちょっとずつちょっとずつ築きあげてきた、
暖かく、ぬくぬくし始めて来た「居場所」を離れることは、
本当に怖い。
でも、お世話になった先生方や、
これからお世話になる先生方とも話し合い、
今年1年、すでに授業を半分くらい受けさせてもらっていた
パリのESAD(Ecole Supérieure d’Art Dramatique)ではなく、
モンペリエを選びました。
1982年以後、
フランスでは地方分権改革で、
文化分野における地方自治体への権限移譲が法律上は認められたこともあり、
地方のコンセルバトワールの力は、偉大です。
パリ以外には、
ストラスブール、リヨン、レンヌなど、
地方に10校の高等コンセルバトワールがあり、
2年、もしくは、3年に1度の受験が行われ、
10人から12人の生徒が入学します。
おかげさまで、
9月から、念願の”la Promotion 2016”として、
3年間、勉強していきます。
いつの間にか、羽が生えて、
息切れしながら走らなくても済むように、
しっかり食べて、
しっかり寝て、
しっかり遊びながら、
好きで好きでたまらない演劇の最後の3年間の授業を受けてきます。
正直、ENSADに受かるなんてミラクルでしかない。
でも、ミラクルがいつまでたってもミラクルのままだったら、
ミラクルなんて起こさない方がいい。
ということで、ミラクルを起こした責任をしっかりとってきます。
今年も、美しいものにたくさん出会えることを願って。

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憧れの南仏にて、地獄の最終選考にようこそ

日曜日の夜から、ENSAD最終選考のため、
憧れの南仏モンペリエへ。
パリの最終試験で知り合ったモンペリエ出身の生徒が、
親切にもおうちに泊めてくれました。
私が着いた頃には、既に私以外4人の受験生が到着していて、
彼の家は、すっかり「受験生の家」
すぐに打ち解けて、
今まで、受験苦労話に花を咲かせました。
月曜日、
街は、すっかりバカンス気分。
私たちは、9時集合。
そして、地獄の最終選考の幕開け。
最終選考は、2グループに分かれていて、
計40人。
この時点で、A、Bとレベル分けがされている。
私たちグループAは、男子8名、女子12名の計20人。
なんと、半数近くが、もう他の学校にも合格しているというレベルの高さ。
さらに、そこから、5人ずつ4つのグループに分けられ、
9時半から、19時半まで、4人の先生と休憩含み2時間ずつの授業。
授業と言っても、
内容はほぼ試験で、
次から次に、モノローグもしくは、ダイヤローグのテキストが渡され、
10分から15分で作品を創り、
先生の前で発表。
その場で、演出を受け、
その場で、対応していく。
今までに経験したことのない即効性適応能力を絞り出し、
脳が、ストップ寸前。
ここで、1日目終了かと思いきや、
ここからが、本当の試験。
1次試験では、
それぞれが連れてきたパートナーと、
各2シーンずつ発表しているのですが、
そのシーンを新たなパートナーと創りなおすというもの。
つまり、自分も誰かのパートナーを引き受け、
台詞を覚えるということ。
発表は、翌日の15時。
5人の審査員+10人の外部アーティストを迎えて行われる。
稽古は、深夜0時に及び、
帰宅後も台詞の暗記。
多い人は、一晩で3シーンの台詞を暗記し、
自分の2シーン、
さらに、自由課題が必須なので、
計6シーンをそれぞれのパートナーと稽古。
私に、言葉のハンデがあることは、だれの目にも明らかなので、
1シーンだけ、パートナーを務めることになりましたが、
それでも、全く手に負えず。
今までも、3,4分のシーンでも、完璧に覚えるのに毎日稽古しても、
2週間はかかっていました。
もはや、試験どころではなく、
いかに、相手の迷惑にならずパートナーを終えることができるか、
という責任の重さに、心も折れる寸前。
悪魔に取り付かれたような悲愴な顔で、
必死に台詞を覚えていると、
先生から、天使の一言。
「学校は、グループ。
どんなメンバーでも、グループでなんとかする。
だから、試験も同じ。
みんなが、みんなのことを考えて受ける。」
ひょっと顔を上げてみて、
「覚えられない!!!」
と、言ってみたら、
みんなが手伝ってくれて、
パートナーとの稽古でも、
私のアクセントまじりの演技に彼はとっても満足。
翌日の最終試験。
私は、6番目。
自由課題を含む、3シーンを何の緊張もなく、
思いっきりやりきって、
なんの後悔もなく終了。
そして、残るは、私のパートナーのシーン。
彼の順番は最後。
最後の最後まで、台詞の確認を続け、
最高潮のストレスの中、舞台へ。
稽古では、できたのに、
やっぱり中盤で、少しの空白ができてしまい、
発音もいまいち。
彼の3年間がかかっていると思うと、
もはや、後悔してもしきれなくて、
謝ってもどうしようもないし、
寝ていなかったせいもあって、
頭が真っ白になってしまいました。
今回も、私が最年長なのに、
一番おどおどしながら、彼のもとへ。
私の顔を見たとたん、
満面の笑みで、
「メルシー!!!」
と言われて、
思わず「ごめんね、ごめんね」と泣いてしまいました。
この2日間の試験を終えられたことは、
私にとって、
2年間の集大成でした。
2年前の私はもちろん、
1年前の私にも、
半年前の私にも、
1ヶ月前の私にも、
先週の私にも、
できなかったことだと思う。
もう、取り組んでいる最中は、
このまま終わらないんじゃないかと、
本気で心配して、頭がおかしくなりかけましたが、
終わってみれば、
なんのこともなくなってしまうもんだから、
不思議。
なんだか、昨日まで見えてた景色とちがう景色が、
見えているような気がして、
ヘアースタイルを大胆に変えたときのような気分。
100%無理だと思い込んでいたものが、
なんでもないことになった日は、
残念だけど、
また、100%無理なことが見つかってしまう日。
僕の前に道はない
僕の後ろに道は出来る
            ー高村光太郎

結果報告 vol.1

年始早々から始まった、
今年のコンセルバトワール受験戦争もそろそろ終わりを迎えようとしています。
私が5月に1次試験に合格した、
パリの高等コンセルバトワール、ESAD(Ecole Supérieure d’Art Dramatique)の2次試験、そして3次試験が終了し、
晴れて9月からの新入生15人に選ばれました。
1次試験での受験者はおよそ750人。
課題は、現代戯曲、古典戯曲、そして自由創作の3つ。
ここで、いっきに、60人近くに絞られ、
2次試験での課題は、
現代および古典戯曲、そして、自由創作。
私は、イスラエル人の劇作家ハノホ・レヴィン『ヤコビーとリドンタル』という戯曲と、
(過去の記事:ハノホ・レヴィン、『うんち!』と絶叫する戯曲。
去年、自分が作・演出したドストエフスキー『おかしな人間の夢』のアダプテーション作品を、
企画書と共に発表しました。
(過去の記事:ワンマンショー@ドストエフスキー・ナイト!!!
狂気にまつわる内容だったので、
会議のプレゼンのように、
直接審査員に説明するところから、
いつのまにか、フィクション(演技)になっているという形式で創作しました。
自由課題では、歌やダンスなど、
演劇以外の分野で、自分を魅せられるものを選ぶ生徒が多いのですが、
私の場合は、いかに、語学能力、
かつ、フランス人の生徒たちの中で、創作していく適応能力を、
見せることが今までの受験に落ちた経験から、
重要だと思ったので、
あえて、リスキーな選択をしました。
そして最後は、30人で行われた3日間35時間に及ぶワークショップ。
6人の先生たちと6回の授業。
1、芸術論
2、演技
3、ドラマツルギー
4、身体表現
5、アレクサンドラン
6、ダンス
オーディションのことは、とりあえず忘れていかに、
3日間でたくさんのことを吸収できるか、
それだけに集中して3日間過ごしました。
おそらく、演劇学校の受験においてみられているのは、
今の自分ではなく、
卒業時の3年後の自分。
今できないことがあるから、
学校がある。
6月の末に受験した、
モンペリエの高等コンセルバトワール ENSAD (École Nationale Supérieure d’Art Dramatique de Montpellier)
来週は、この学校の最終試験。
まだ、結果次第で来年の進路がどうなるのかわかりませんが、
知らない人たちと過ごすモンペリエでの泊まりがけの最終試験に、
ちょっと臆病なきもちになりつつも、
心底わくわくしています。
私の大好きなアーティストASIA SunRise『Oh yeah! 』という曲の中の歌詞。
『選んだということは、選ばれたということだ。
 選ばれたということは、選んだということだ、進め!』


さあて、
悩んで立ち止まるより、
流れにのって、
流されてみてしまおうかしら。
さも、自分で、流れこしらえたようなふりしながら。
笑ったり、
泣いたり、
あきらめたりしながら、
今日も、
大きな声で、
「はったり」上等。

初めての国外受験!@スイス

日本で就職に失敗して、
自殺する大学生が1000人を超えたそうです。
選ばれなかった側に入ることは、
本当に辛い。
選ばれた人がいるだけに、
理由がわからないだけに、
全否定された気分になってしまう。
さて、選ばれ続けない私も、
国境を超えて、スイスまでやってきました。
La manufacture
http://www.hetsr.ch/
この学校は、モーリス・ベジャールで有名なローザンヌに位置する演劇学校で、
フランスの国立コンセルバトワールに相当するそうです。
ちなみに、Haute Ecole Spécialisée de Suisse occidentale (HES-SO)に位置づけられているので、
卒業すると、大学院卒業レベルのディプロムが取得できます。
受験は、3年に2回。
コンセルバトワールの友人に誘われて受験することにしたのですが、
なんと、受験者は、
毎年、フランス人がスイス人を上回って過半数以上を占めているようです。
ちなみに、ベルギーにも、国立コンセルバトワールに相当する学校が、
ブリュッセルとリエージュにあるのですが、
こちらも、フランス人受験者が大半を占めるそう。
INSAS(ブリュッセル)
http://www.insas.be/
ESACT(リエージュ)
http://www.crlg.be/2013-Contenu/theatre_general.html
スイスも含めて、これらの学校は、
すべてフランス語圏にあるので、
パリの学生たちにとっては、
南仏に行くのも、
ベルギーやスイスに行くのも、
ユーロ圏なだけに、大した違いはないみたいです。
今までも、散々ブログに書き散らしているのですが、
私にとって2年目のフランス滞在は、
まさに蟻地獄で、
やればやるほど、
停滞どころか、
後退を感じるばかりでした。
最近は、ちょっと苦しみ疲れてしまって、
旅行気分で受けた今回の受験。
フランスとの国境から、車でローザンヌに向かう途中で通った、
ジュネーブがあまりにも綺麗で、
ガイドブックで見た通りだったので、
普段から外国にいるけど、
なんだかとっても浮かれてしまって、
受験前からるんるん。
今年受けた数々の屈辱とか敗北感とかを通り越し、
パンチを受けまくって痛みを感じなくなったボクサーのような私は、
もはやストレスも感じませんでした。
La manufactureの課題は4つ。
1、古典戯曲
2、現代戯曲
3、モノローグ
4、自由課題
私は、去年覚えた大好きなモノローグを1番目に選択。
今年初めて、
舞台の上で、「楽しい!」を感じました。
2番目に審査員から指定された古典戯曲の
モリエール『人間嫌い』は、
いつもどおり、
発音に多少の問題はあったけど、
晴れ晴れしい気持ちで、
初めてのフランス国外スイス受験を終えました。
去年、フランスに来て2ヶ月で奇跡的に受かってしまったパリ15区のコンセルバトワール。
日本にいる家族と、
フランス語もしゃべれないのにあり得ないよね、と、
笑ったこともすっかり忘れてしまって、
今年は、いつのまにか、
みんなとちゃっかり同じ土俵に立って、
戦っている気になっていました。
目の前に大きな明確な目標があるとき、
人は、その目標を達成できないと、
生きていけないような気持ちになってしまう。
なぜなら、
その目標のために、人生すべてを費やしているから。
去年の9月から、
受験のことだけを考えて、
生活してきて、
それでも、うまくいかない結果に、
自分の外側に、言い訳やハンデばかりを探して、
そうすることで、
なんとか、持ちこたえていました。
就活で失敗し続けて、
自殺したくなるのも、当然。
自分の過去も未来も、
性格も、容姿も、なにもかも、
全否定された気持ちになる。
でも、実際否定されたのは、
現在だけ。
今日の「選ぶ側」と、
今日の「選ばれる側」の、
コンタクト。
明日、受けるときに、
昨日、否定された自分はもういない。
というか、いないことに出来る。
でも、やっぱり、
一番辛いのは、
誰にも強制されてないということ。
やらなきゃいけないから、
仕方なく、嫌々やることの方が、
実際、楽だったりする。
就活や受験はもちろん、
人生自体が、
誰にも強制されてない。
だから、
やめても、
挫折しても、
あきらめても、
ぐーんと、方向転換しちゃったっていい。
ただ、言い訳だけはしないこと。
言い訳探さなくて済む「選択」だけをし続けること。
やりたいことだけをやることって、
もしかして、
一番難しいかも。

夢をあきらめるタイミングとは?

先週の火曜日、
第2志望だった、ストラスブールのコンセルバトワールの受験に失敗しました。
パリ、国立のコンセルバトワールと同様に最難関といわれている、
ストラスブールのコンセルバトワール、
通称TNS(Théâtre National de Strasbourg)
http://www.tns.fr/fr/ecole/concours/concours.html
試験方法も、コンセルバトワールの受験の中でも、
一番過酷だと言われています。
1次試験は、朝8時半から。
25人から30人が、スタジオに集まって、
なんと挙手制で、受験がスタート。
3つの課題のうち、
1つ目は、自分で選んで、
2つ目は、審査員に指示されます。
3時間にわたって、全員が発表し終えた後、
劇場のロビーで待機。
その場で、結果が発表され、
選ばれた人だけ、16時から行われる2次試験を受けます。
私たちの回で、1次試験を通過したのは、3名。
同時に、二つのスタジオで審査が行われているのですが、
他の回は、10人以上が通過したこともあるそうです。
同じグループだったメンバーには、
結構好評だったのですが、
私は、選ばれず。
2,200人近くいる受験者のうち、
1次試験を通過するのは、
200人弱。
さらに、最終的に選ばれるのは16名。
今回、私は、この2,000人の方にカテゴライズされた訳ですが、
この2,000人の中で、
ここで、
モチベーションが閉ざされる人と、
続けられる人と、
受験が終わっても、まだ試験はずっと続いている感じがしていました。
ここまでもやってもだめなんだから、
もうどうやってもだめだろう、
と、何度も思いました。
まだまだ、続く受験。
気持ちの切り替えが、
なかなかうまくいかずに、
不幸に甘えて、めそめそしている間に、
たくさんのものを、
失いそうになったり、
見失いそうになったり、
あげくの果てに、
そんなことになっていることにさえ、
気づかなかったりしました。
自分と向き合うのが怖くて、
とりあえず、稽古の予定を詰め込んでみましたが、
私と、ワタシの間は距離がどんどんひらいていくばかりで、
勝手に、ワタシは、私じゃない飼い主に飼いならされていく感じ。
さて、
挫折、失敗、拒絶、
と、どう対峙するか?
挫折、失敗、拒絶、
これ以前に、
絶対的に存在するもの。
過程。
過程は、一定の時間を要するが、
挫折、失敗、拒絶が、訪れるのは、ある一瞬。
もちろん、そこから長引かせることはいくらだって出来るけど。
過程を、考えて挑む。
一瞬の間に訪れる、挫折、失敗、拒絶に、
結果に負けない強い「過程」を作る。
願った結果が出なくても、
絶望しないような、
図太くて中身の詰まった「過程」を作る。
試験に合否は出るけど、
人生に合否は出ないから、
自分で勝手に「否」を出さないように。
何度も何度も、やめようと思うけど、
最終的に夢をあきらめる判断は、
自分でするものではないのかしら、と思う。
多分、内的要因にしろ、外的要因にしろ、
あきめなきゃいけないときは、
悩むまでもなく、やってくる。
ちょっとずうずうしいけど、
悩めるうちは、
進んでもいいかなと思う。