ベルリンを拠点に活躍する、
アイディアが溢れて止まらないアーティスト集団『リミニ・プロトコル』
日本でも2013年に公演された『100%シリーズ』がモントリオールに登場。
リミニ・プロトコルの作品に初めて出会ったのは、なんと9年前。
『CALL CUTTA IN A BOX』
インドのコールセンターで働く人と、スカイプで一対一でお話しする作品。
(その時の様子を描いた過去の記事:『世界の小劇場-〜vol-1ドイツ編〜』@神奈川芸術劇)
今、思い返しても、この作品によって、自分が勝手に作り上げていた演劇観というものが、完全に覆され、そのおかげで今も未知であり続ける演劇の魅力にとりつかれているのだと思う。
このような作品に出会えるのは、10年に1本だと思っていて、実際、あれから9年、国境を越えて演劇を見続けているけれど、『CALL CUTTA IN A BOX』を超える衝撃はない。
そんなリミニ・プロトコルのメンバーと朝ごはんを食べるチャンスが巡ってきた。
日曜日の10時半。
会場には、すでに、コーヒー、パン、ジャム、ピーナッツバター、ジュース、そして、なんとトースターまでセッティングされている。
参加者はとなりの人に気を使いながら、
自分の朝ごはんを用意。
ノートも用意して準備万端。
そして、朝ごはんスタート。
まずは、リミニが簡単に今までの活動を語り、
あとはいたって、インフォーマルなディスカッション。
俳優を使わないで、現地の人と作品を作るリミニのスタイルにぴったりあったシンポジウム。
途中でトースターのタイマーが、チンッ、と鳴ったりして会場はフレンドリーな雰囲気。
改めて、人は同じものを口にすると、他者に心を開いてしまう動物なのだと実感する。
午後、劇場に『100% Montréal』を観に行くと、
会場はまさに、朝ごはんのときと同じ雰囲気。
15分も経たないうちに、会場にいる観客は、
笑うだけじゃなく、拍手したり、ブーイングしたり、
つまるところ、「思わず」しゃべってしまうのだ。
リミニの演劇は、決して参加型だとは思わない。
観客は、いつのまにか、もしかしたら、自分も舞台に立つことになっていたのではないか?と錯覚してしまう。
そこで、舞台にいる出演者に、シンパシーを感じずにはいられず、しゃべり出してしまう。
さて、この公演、実はお土産付き。
100人の参加者の写真と紹介が書かれた本がすべての観客に配られる。
これまた、100人全員知り合いになったと錯覚してしまうのが、リミニ・マジックである。