(勇気を持って)お金の話をしよう。

11月は1週間に6作品違う作品に出演するという、

人生最初で最後になるであろう体験を経て、肝っ玉もすわり始めたところで、

10月に初演を迎えたSonge et Métamorphoses という作品のフランス16カ所ツアーがスタート。

スクリーンショット 2016-11-26 22.31.33.png

レジダンスで、長期間アパートに泊まることはあっても、

仕事でホテルに泊まるのは生まれて初めて。

ちょっとドキドキはするものの、やはり、フランス人の中で24時間密着した生活は疲れる。

 

さてさて、時期はそろそろ2018年度のプログラムが続々と決定し始める頃。

フランスの公共劇場の場合、毎年2月から4月の間に、来シーズン(9月から翌6月まで)のプログラムが1年分一気に発表されるため、とにかく、製作が早い。

基本的に、2年から1年前単位でことが運んでいく。

幸運なことに、私もいくつかオファーを頂いて、直接制作の方や、演出家の人とあって、スケジュールの調整などを行ったのだけれど、私の場合、事務所に入っていないので、自分で必要な事柄を質問していかなければならない。

お金の話が苦手な日本人ならではの苦労。

そして、芸術の世界となれば、なおさら、お金の話を切り出すのは、なんとなく気がひけるという若手の俳優は多いことだろうと思う。

自分のためになる仕事なら、たとえ、給料が悪くても!では、続かない。

もちろん私たちの仕事は、一生勉強。

それでも、お金を稼いで、気持ちのいい生活を送ることができなければ、いいクリエーションもできない。

特に、私の場合、自分がプロデューサーとなっている企画(つまり、まだお金にならない作品)があるため、こちらを続行するためにも、劇場のとの契約は、とても大事。

この間は、衣装の靴が二足壊れて、衣装の人がツアーに同行していなかったので、

自分で修理に持っていって、修理代は大したことないけれど、領収書を渡していいのかどうか1週間も悩んで、申し訳ないと思いつつ担当の人に渡したら、いとも簡単にお金が返ってきた。

つい最近は、パリに不在の日にオファーされたリーディング公演に、

声を録音して出演することになって、

契約後、声を録音してやってみたら、技術的に舞台上でうまくいかず、

結局不参加となったことがあった。

この場合、支払われるはずだった給料はどうなるのかと疑問に思いつつ、

聞けないままでいたら、稽古に参加したということで、後日、予定されていた給料が入っていたということもあった。

とにかく、サラリーマンが、企業との契約で、当たり前にお金の話をするように、

私たち俳優にも、当たり前に、お金の話をする権利があるということを、最近、一生懸命肝に銘じている。

それでも、よく知らない間柄で、かつ、自分はすごい有名な俳優でもないのに、お金の話をするなんて、なんだかいやらしいという価値観が脳裏に染み付いていて、小さなことでも、質問できずにくよくよしてしまう。

 

自分の労働に対してお金が支払われるということは、

まぎれもなく正当なことであり、

それを要求する権利は、アーティストだろうが、会社員だろうが、同等にあるものである。

 

ということで、俳優としては、ひよっこの私も、

食べていかないといけないわけで、

明日からも、舞台の上で、真面目に働きます。

 

 

 

 

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