8月からの地獄クリエーションを経て、
先週7日に、ランスで初日を迎えました。
Songes et Métamorphoses UN SPECTACLE DE GUILLAUME VINCENT
一時は本気で、本番を迎えずして、クビになるかと思ったけど、なんとか無事に幕があいて、感動というよりも、安堵の方が大きかった。
初日に、まずびっくりしたことは、フランスの演劇界では、Les cadeaux de la premièreと言って、初日にスタッフ、俳優全員がプレゼントを交換し合う風習があるということ。
私は、初日の朝に、同居人の女優から聞いて初めて知ったので、すでに時遅し。
文房具屋に駆け込み、上等なカードと封筒を買って、俳優、スタッフあわせて、関係者30人簡単な手紙を書くことに。
本番前の簡単なリハーサルが終わり、マイクチェックをしてから楽屋に戻ると、机の上はプレゼントとカードで埋め尽くされていた!
衝撃!
物によっては、いつから準備してくれていたんだろうと胸が熱くなるような贈り物も。。
周りの俳優たちの話によると、この風習は、どこの現場に行っても同じらしい。
日本では、千秋楽にお世話になったお礼に手紙や贈り物を渡すことはあっても、初日というのは、めったにないと思う。
フランス人にとって重要な初日も、
日本人にとって重要な最終日も、
どっちも私のかけがえない日だ。
そんな、初日の翌日、お陰さまで、今年もお陰さまで舞台の上で誕生日を迎えることとなりました。
去年の誕生日は、本番中だったにもかかわらず、喉を壊して、思うような演技ができなくて、もうこんなんじゃ舞台の上で迎える誕生日も今年が最後かもしれないと思って、号泣していた。
そこから、体力と精神力をつけることに集中してきた1年間だった。
何しろ、私のモットーは、「流れろ、流れろ、流されろ。」
目の前にあることが、最良なかたちでできるように、全力を注ぐだけ。
今年も順調に苦しみながらも、流されて、流れに逆らうことなく、流れおわったら、また次に来た波に流されるだけ。
学校卒業後、フランスで初めてのプロとしての仕事に、もっと緊張したり浮かれたり興奮したりするのかと思っていたけど、初日があけて、異様に平常心な自分に少し驚いた。
飛び跳ねたくなるような喜びや、全身にほとばしる達成感のようなものはないけれど、
確実に、舞台に立つという、特別だった時間が、刻一刻と、日常の一部に溶け込んでいっていることを感じることが実に心地よい。
29歳は、怖いもの知らずの強さから、怖いものを知っているからこその強さへの転換期だと思う。
怖いもの知りの強い30歳を目指して、
今年も、誠実に、慎重に、そして、大胆に生きていきます。
お誕生日のメッセージ、ありがとうございました。