2014年、最後のスタージュは、
前回同様、
劇団ではなく、
俳優集団”collectif”というスタイルをとっている
演出家であり俳優のAntoine OppenheimとSophie Cattaniによる、
ロシア現代演劇。
テーマは、ロシア人「超」現代演劇劇作家、
Ivan Viripaev(イヴァン・ヴィリパエフ)の作品。
フランスでは、もう何冊も翻訳戯曲が出版されており、
特にコリーヌ劇場で多く上演されている。
これ、本当に戯曲?と疑いたくなる形式に、
酔っ払いが15人近く出てきて、
しかも全員常に酔っ払っている話や、
精神病院にいる患者から、委託されて書いたと明かすところから始まる戯曲(嘘)、
全員が嘘しかつかない話、
などなど、かなりぶっ飛んでいます。
男女二人によるモノローグのみで構成されている
彼の代表作:『Kislorod (Oxygène)』(酸素)
本人によって、映画化もされている。
AntoineとSophieが所属するcollectif「Ildi ! eldi」も、
来年3月にロン・ポワン劇場で、
彼の作品を上演する。
Les guêpes de l’été nous piquent encore en novembre de Ivan Viripaev
スタージュの内容とは関係なく、
クリスマス前は、
どうしても、
モチベーションが下がりやすくなってしまうのは、
去年同様。
9月からノンストップの授業に追い打ちをかけ、
南仏の太陽に慣れっこの私たちに、
雨が降り止まない毎日。
精神的にも、肉体的にも、
ぬるーい状況に、喝!ということで、
先月の終わりからはじめた「自己洗脳」
実際に、自己洗脳というのは、
自己暗示法として、
いくつかの団体が紹介しているようですが、
竹中香子流「自己洗脳」はもっと甘っちょろいもので、
そもそも、
クリスマス(つまり里帰り)までの、
1ヶ月だけ勉強大好きになろうというもの。
授業外で、
フランス語の勉強をしなければと思ってはいたものの、
日常的には、不便がなくなった分、
ついつい演劇のことだけに時間を費やし、
1年生のときより、
言葉の訓練がおろそかになっていたのは事実。
ただ、終日、長いときには、
午前午後合わせて、
12時間に及ぶレッスン、そして、授業を終えて帰宅すると、
もうフランス語は聞きたくない‼︎
ということで、
大好きな人志松本の「すべらない話」をyoutubeで観ることがお決まりでした。
至福の時。
前回のスタージュで、
インプロビゼーションの際、
舞台における自分の語学レベルが、
想像以上に低かったことに、
打撃を受け、
一ヶ月間のyoutube断ちを決行。
ただ、人間にとって、
好きなものを我慢するということほど苦しいものはないので、
この状況を「好んで」選択している状況をなんとか作り出せないかと、
思いついたのが「自己洗脳」
以前、野菜を調理するのが面倒になったとき、
食に関するドキュメンタリーを片っぱしからみて、
調理済みのお弁当などに使われている化学調味料の恐ろしさや、
肉の加工の現場、
野菜や果物のビタミンが身体にもたらす活力などについて、
頭に叩き込んでみたところ、
自然に食生活が整頓され、
毎朝食べていたチョコレートたっぷりのシリアルともいつの間にか疎遠になりました。
この方法を使って、
なんとか、「すべらない話」から、
フランス語を聞きまくる、読みまくる、書きまくる生活に、
(しゃべりまくるは、もう学校でやっているので勘弁。)
シフトできないか。
とりあえず、
いま授業で扱っている、
Ivan Viripaevの戯曲を4冊読破。
この辺は、気合だけで突破。
辛かった。
それから、
ipadでARTEというフランスがドイツのテレビ局と提携して放送している、
チャンネルのアプリケーションと、
http://www.arte.tv/fr
フランソワ・ミッテラン元大統領の元で、
文化顧問でもあった、
フランスが誇る天才美人女性ジャーナリスト、
Laure Adler による、
演劇のラジオ番組のPodcastをダウンロード。
Studio théâtre / France Inter
映画、舞台、美術、音楽などに関する、
最新の情報が常に更新されているサイトCultureboxから、
最新記事を定期購読。
自分が興味がある分野から、
フランス語でしか情報が取得できない内容を、
とにかく開拓していく。
パリにいるときから、
スカイプで定期的に発音のレッスンを行っている、
ディクションの先生に、
この作戦を話してみたところ、
じゃあ、思ったことを毎日、
携帯のメールでもいいから送るようにいわれ、
その日のうちに、
添削メールが返ってくる。
自分のためにもなるからと、
無料でやってくれる。
フランス語を舞台の上で、
完全に操れるようになることよりも、
まず、
フランス語を習得することが、
いかに、自分の人生にとってアドヴァンテージをもたらすかということを、
徹底的に、脳よりも、身体(五感)に分からせていく。
一週間も経過すると、
もう、フランス語を耳にしていない時間は、
一秒たりとももったいないとさえと感じてくる。
記事や番組で、面白いテーマを発見するとすぐに、
先生にメールしたくなる。
友達にも、話したくなる。
しまいには、
日曜日の朝の哲学の番組を楽しみに待つ始末。
個人的には、
成功した「自己洗脳」で、
冬休みまでのあと2週間を乗り切ります。
それにしても、
我慢は身体に良くないので、
極力避ける。
ただ、したいことだけで、
構成されてないのが、
人生。
食べ物も、
学びも、
運動も、
いかに、
自分の身体の願望に応じて摂取できるかによって、
体内への吸収効率も変わっていくような気がする。
「したくないけど、
した方がいいだろうなあ」ということが、
「したいこと」に変わったら、
得した気分。
「自己洗脳」成功。