フランスの幼稚園で始まった、
世界初の「哲学の時間」についての、
ドキュメンタリー映画『ちいさな哲学者たち』
2007年、パリ近郊のZEP(教育優先地区)にあるジャック・プレヴェール幼稚園。そこでは、3歳からの2年間の幼稚園生活で、哲学の授業を設けるという世界的に見ても画期的な取り組みが行われていた。
私の大好きな言葉「哲学」って、
一体何??
「哲学」という言葉が、
初めて私の頭の中に登場したのは、
1991年に出版され、大ヒットした小説、
ヨースタン・ゴンデル『ソフィーの世界』。
内容というよりは、
私の哲学のイメージは長年、
この本の表紙の絵だった。

人は、
目に見える、
前方にではなく、
目に見えない、
後方に果てしなく広がっている。
それが、私の「哲学」の最初のイメージ。
「死」って何?
「リーダー」って何?
「偉い」って何?
「愛」って何?
模範解答のない質問が続く、
小さな幼稚園の教室の中で、
小さな子どもたちは、
小さな頭と体をひねり回して、
自分の答えを探していく。
そして、他の子の自分とは違う答えに出会う。
移民大国として有名なフランスには、
両親が二人ともフランス人であることの方がまれ。
肌の色も、
髪の毛も、
目の色も、
ばらばらの子どもたちが、
見た目だけではない、
後方に広がる他人との大きな違いに出会っていく。
フランスでの、
演劇の授業にも、
稽古にも、
欠かせないのが、
ディスカッションの時間。
先日、
スタージュの最終日には、
ひとり15分以上、12人全員
つまり、3時間半も時間をとって、
自分の感じたことを言葉にしました。
自分の意見に出会うこと。
他人の意見に出会うこと。
いろんな味を、
ぐるぐる混ぜる。
「哲学」とは、
たぶん、
「続ける」こと。
「哲学」は、
終わらない。
だから、
「続ける」。
自分の後方に、
世界を広げ続けるため。
そして、
他人の後方に広がる世界をみようとするため。