冷静と情熱と”屈辱”の間で、多分、私は苦労の天才。

3週間に渡る濃厚すぎるパゾリーニ研修が終わりました。
14/10-1/11
Promo 2016, Master Classe avec Christophe Perton:Travail sur l’oeuvre de Pasolini
http://www.ensad-montpellier.fr/80-14-10-1-11-promo-2016-master-classe-avec-christophe-perton-travail-sur-l-oeuvre-de-pasolini.html
1週目は、ピエル・パオロ・パゾリー二が残した「六編の悲劇」
(『カルデロン』『寓話』『ピュラデス』『豚小屋』『オルギア』『文体の獣』)を、
すべて読み、
彼に関するすべての資料を集めてリサーチ。
ちなみに、日本では、
川村毅さんの劇団「T Factory」が、6作品すべてを上演しています。
http://www.tfactory.jp/
パゾリーニの言語とは、まさしく、
「史上最悪の時代を生きる観客にとってはあまりにも難しく、
 詩に親しんだものにとってはあまりにも簡単」
(『寓話』プロローグ/訳:鈴木真由美「パゾリーニによる現代の悲劇」より)

1週目の台本の読み合わせでは、
すれ違ったこともないような言葉の大群に圧倒され、
まさに、
文盲状態。
つっかえつっかえ読むことに疲れ果てた頃には、
すっかり指名されなくなっていました。
クラスのメンバーも、
圧倒的な不利な私の状況に、
どう対処していいかわからず、
私も、どうしていいかわからず、
平気なふりして、
家に帰って泣いてばかりいましたが、
屈辱には、屈辱で対処。
「家で泣くくらいなら、外で泣け!」と思い立ち、
泣きながら、学校の生徒たちの溜まり場のバーへ。
読むのに時間かかっても、
発音が悪くても、
何もしなかったら、
上達しないから、
読み合わせ、自分もちゃんと参加したい!
と言いました。
何も言わなければ、何もしてくれないけれど、
言動が必ず、
なんらかのカタチになるのがフランス。
11人全員、
どんなに時間がかかっても読んでほしいと思ってるから、
先生に自分の口でしっかり思ってることを伝えるように言われました。
そして、次の日、
読み合わせが始まる前に、
「失敗しないと上手にならないから、
 読ませてください。
 できるようになります!」と、直訴。
「もちろん。」と、言って、
何事もなかったかのように、
超難解な役を割り当てられる。
2週目、3週目は、
それぞれが、
ドラマツルギーと演出を1シーンずつ担当し、
ドラマツルギー、演出、そして、役者として、
創作の過程(稽古)を毎日1時間ずつ、
先生の前で発表。
つまり、12人いるから、
12作品にそれぞれが出演する。
私は、ドラマツルギーで『寓話』を担当し、
演出で『豚小屋』のエピソード1を選択。
(映画でも同じ台詞が使われている)


『ソドムの市』に負けないスキャンダルな内容で、
人間が人間を食らうシーンに始まり、
人間が豚に食われて終わる映画です。
ちなみに、『ソドムの市』は日本語字幕でyou tubeでも観られます。
授業で観たときには、
半数以上が体調悪くなっていました。

先生によって決められたキャスティングで、
なんと、唯一のモノローグシーン、
『文体の獣』より「母の幽霊」の役を渡され、
しかも、4ページ(意味不明)。
この時の絶望度を、
言葉で表すなら、
知らない土地で、
携帯も繋がらず、
お財布をすられた感じ。
台詞を覚えるも何も、
発音もできない上に、
意味もわからない。
そして、リミットは1週間。
平行して進めていった、
自分の演出作品では、
パゾリーニによって1968年に書かれた
『新しい演劇のための宣言』(Manifesto per il nuovo teatro)という論文をもとに、
創作を進めていきました。
彼にとっての新しい演劇、
それは、「言葉の演劇」(il teatro della Parola)
演劇において、
言葉は書かれて、そして、発されることで、
「二重の栄光」を生きる。

映画監督としてもスキャンダルで有名な、
パゾリーニですが、
彼がしたかったことは、
スキャンダルを巻き起こすことではなく、
スキャンダルに誘い込むこと。
“Faisons Scandale ensemble!!”
(一緒にスキャンダルしよう)

彼の詩的で高尚過ぎる言葉たちは、
一部のブルジョワジーのインテリなグルーブではなく、
新しい観客たち=la classe ouvrière la plus consciente(もっとも意識の高い労働者たち)
に送るもの。
さて、
「言葉の演劇」の役者に求められるものとは何か?
まさに、テキストをどう理解するかという、
最も単純で、
そして、難しく、
正直あまり魅力的ではない作業。
圧倒的に足りない一般常識の中で、
四苦八苦。
インターネットにかじりつきながら、
「ファシスト」ってなんだっけ?
「ムッソリーニ」って誰だっけ?
モスクワの「赤い広場」って何?
恥ずかしくて誰にも聞けない質問に、
少しずつ、自分で答えながら、
テキストを解読。
モノクロだったテキストは、
日に日に、
ぬり絵のように、
日に日に、
はじっこの方から、
日に日に、
鮮やかになっていき、
単調だった私の演技も、
3Dになって来たりして、
気づいたら、
最終日の前日に、
台詞、覚えてた。
テキスト解釈、そして、発音矯正のため、
特別に、先生が2時間個人レッスンをしてくれ、
最終日のプレゼンでは、
先生もびっくりのモノローグに仕上がりました。
この作品は、
6月にパリ、モンペリエ、
(もしかしたら、もう一カ国!?)
のツアーが決まっており、
これから、
来年4月まで、
各自でリサーチを続け、
5月から、本稽古に入ります。
人間、
誰でも、
苦労の分量は決まっているのかも、
と思うときがある。
だって、
大きな苦労をすればするほど、
苦労を感じなくなっていくから。
ちなみに、
プレゼン終わった瞬間から、
一気に声が出なくなり、
週末は、
だんまりの刑。
お手製生ミントティーとはちみつでリラックス。
みんと

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