私の狂気リスト2013、キム・ギドク、柳家花緑、そして…

19歳の誕生日に、
荻窪の古本屋(しかも、竹中書店!)で、
三島由紀夫戯曲全集を20,000円で自分にプレゼントして以来、
私のアーティストへの尊敬の基準は、
狂気。
つまり、何かを目の前にして、
驚き、感動、賞賛を、通り越して、
一言に、「怖い」という感覚。
まさしく、
「畏敬の念」
2013年一発目は、
以前ブログでも言及し、
ただいま、日本でも公開中の映画、
キム・ギドク『嘆きのピエタ』
http://www.u-picc.com/pieta/
(過去のブログの記事:キム・ギドクの映画で、顎がはずれる。
続いて、女子高生の時から通っている、
鈴本演芸場「五月下席」での柳家花緑『試し酒』
ちなみに、昼の回は、
あまりの豪華メンバー(菊之丞、さん喬、正蔵、権太楼、三三、一朝、白酒、花緑)のため、
私の中で、完全に伝説化しました。
なぜって、鈴本で、立見!!
柳家花緑と言えば、
祖父に柳家小さんを持つ、まさに落語界のサラブレッドとしても有名。


今まで、私も何度か拝見させて頂いたことがあるのですが、
いつも、落語家なのに、なんて言葉を綺麗にしゃべる人だろう、
と、彼の持つ言葉の意味を伝えるテクニックに、
いつも感心していました。
『試し酒』は、お酒を一気に5升飲めるかどうか、賭けをする話。
http://ja.wikipedia.org/wiki/試し酒
主人公の久蔵さんが、1升づつ、お酒を飲み干していくのですが、
そのお酒を飲む演技に、開いた口が塞がらず。
サラブレッドも、暴れ馬も、超えて、
完全に、「怪物」と化していました。
枕で、祖父小さんの大食い伝説を話していたこともあり、
後半に進むにつれ、
本当に小さんが乗り移ってしまったのかと思うほどの、
現世を超えた狂気で、
私は、一番前に座ってしまったことを後悔するほどの「恐怖」に取り付かれました。
会場を出たときの、
開放感と、背骨の痛みを今でもよく覚えています。
さて、19日、パリ、Maison de la Mutualitéにて行われた、
先日ブログでも書いた、上原ひろみコンサートに行ってきました。
http://www.maisondelamutualite.com/
(過去のブログ:フランス人の中で、私がフランス語担当?! vol.1フランス人の中で、私がフランス語担当?! vol.2 〜天才ジャズピアニストHiromi〜
開演して、可愛いワンピースに身を包んだ彼女が舞台に入ってきて、
会場が拍手と喝采に包まれて、
私は、コンサートに慣れていないので、
なぜ、まだ何もしていないのに、
拍手するんだろう、と疑問に包まれていると、
彼女がピアノの前につく。
ガラス細工のような、2本の腕をそっと持ち上げて、
10本の指が、
ふわっと揺らいでから、
まるでスカートの裾のように自然におさまる。
そして、音の移動が、
一斉に、
始まる。
多分、彼女の指が紡ぎ出す音を聞いていたのは、最初の2秒くらいで、
あとは、彼女の身体から出てくる空気を聞いていた感じ。
この人は、
いま好きなことをしている。
好きだから、
ここにいて、
好きだから、
続けている。
たぶん、それだけ。
たとえ、実際そうじゃなかったとしても、
構わない。
私には、純度が高すぎて、
ここまでやって来た過程とか、苦労とか、困難とか、
かけらも感じられなくて、
だから、
その人が発する空気を、
身体全面で受けなきゃ、と必死で、
気づいたら、また、背骨が痛くなっていた。
そして、
ここまでの純度の中で生きている彼女を、
やはり、
「怖い」
と思った。
狂気メモ、
呼吸が一定ではなくなり、
無意識に、背骨が痛くなる体勢をとってしまっているとき、
狂気は、
すぐ近くにいます◎

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