静岡で毎年6月に行われている、
国際演劇祭にフランス演劇界の巨匠クロード・レジ(Claude RÉGY)がやってきます。
メーテルランク『室内』
http://www.spac.or.jp/f13interior.html
私のクロード・レジ初体験は、2011年。
『Brume de Dieu』(神様の霧)
http://www.theatregaronne.com/saison.php?idevent=228
この公演のためだけに、
既に初演を観て、人生が変わったと言い張る友人と、
一泊二日でパリからTGVに乗って5時間かけていったトゥールーズのThéâtre Garonne
なんと、レンヌのThéâtre National Bretagneの学校を卒業したばかりの、
Laurent Cazanave(当時21歳)
一人芝居。
そして、現在24歳にして、
すでにこの経歴。
http://www.laurent.cazanave.com/cv_infos.cfm/305661_laurent_cazanave.html
実は、映画『アメリ』にも出演していて、
最近ではパリ・オペラ座等でも活躍している、
コンテンポラリー・ダンスのAngelin Preljocaj(アンジュラン・プレルジョカージュ)
とも仕事をしているそう。
さらには、自分のカンパニーまで創立。
Compagnie La Passée
ローランの話は、この辺にして『Brume de Dieu』について。
この作品は、ノルウェーの作家Tarjei Vesaasの『Les Oiseaux』(鳥)という作品の抜粋で、
当時、フランス語の出来なかった私は、
正直、全くどういうストーリーなのかわかりませんでした。
後で知ったのですが、
フランス人にとっても、
かなり難解なテキストだった様です。
幸運にも、最前列で観ることが出来たのですが、
余りの熱量に、開演とともに息苦しさを感じ、
そこから60分、ほぼ身動きせずに観劇。
『畏怖』
[名]おそれおののくこと。
敬う気持ちと、
恐れる気持ちは、
紙一重。
昔、私にとっての『畏怖』は、
一緒に住んでいた祖母で、
怖くて、怖くて、
いつのまにか、私が祖母の面倒をみるようになっても、
彼女が亡くなるまで、どんなときも怖かった。
でも、この一見ネガティブな「怖い」という気持ちが、
「優しさ」に対する好意を軽く超えて強い感情だということを
私は知っている。
そして、彼女が私の前から、姿を消した瞬間から、
限りなく「崇高」な存在になった。
レジの作品は、
怖い。
恐怖は、
こんなにも人を不安にさせ、
己の脆さを突きつけてくる。
一言も役者から紡ぎ出る言葉がわからないのに、
彼の発するエネルギーに身体が麻痺して、
動けない。
SPACのサイトにアップされたレジのインタビューを見て、
「わからなかった」ことを、
少し誇りに思った。
翌日の肩から首にかけての痛みは半端なかった。
舞台に出てないのに、
観客の分際で、筋肉痛になってしまいました。
パフォーマンス空間で、
何かが「起こる」
その瞬間に、
傍観者としてではなく、
素材の一部として、居合わせること。
極上の贅沢。