演技で負けても、口で負けるな!

有言実行が出来る人には、敵わないなあ、
と、常々感じながら、
そういう人を心から尊敬して行きてきましたが、
フランスの演劇界で、必要不可欠なのは、
どう考えても、口!!
議論に負けたら、実行に移す機会さえ与えてもらえない。
例えば、授業で、自分の作品を発表して、
そのあとに、質問の嵐を受ける。
ここで、しっかり議論に負けなければ、それは、
価値のある作品だとみなされるし、
何も言えなければ、それまで。
コンセルバトワールに、
私にとって、
すごく意地悪な先生がいて、
先日、
私の受験用に準備しているシーンを発表すると、
「香子の努力は、心から認めるけど、
コンセルバトワールは、インターナショナルな学校ではなく、
フランス人のためにあるものだから。
そして、受験は、よく頑張ったご褒美として、結果がついてくるものではないから。」
と言われました。
もちろん、ひよっこな私は、
何も言い返せずに、
その場を去り、
まさしく、慟哭しました。
そして、
いろんな人にこの話をしたのですが、
びっくりするほど、だれも同情してくれず、
答えは、一言。
「え?なんで、言い返さないの?」
学校は、教育の場。
つまり、完璧な人は、いない。
そして、完璧な人は、いらない。
でも、自分が、どこに行き着きたいかを、
指導者に、プレゼンできなければ、
学ぶ段階にまで、到達できない。
それは、
稽古でも同じ。
どんなに、演技の能力があったとしても、
自分のプロポジション(演出案)を、
一緒に受験を受けてくれるパートナー(共演者)に、
しっかり伝えることが出来なければ、
即刻、これらのやる気は半減。
いかに、魅力的に自分の企画、アイデアを相手に伝えられるかが、
生死を分けます。
もちろん、話す能力だけでなく、
雰囲気も大切。
朝一番の稽古には、
ちょっと無理してでも、
とびっきり元気に向かいます。
今年の始めに、
5月にThéâtre de l’Europeで上演される
モリエール”Le Misanthrope”の初日前日の稽古を見学させていただいのですが、
http://www.theatre-odeon.eu/fr/2012/11/03/le-misanthrope
ゲネプロ前に関わらず、
稽古場は、ディスカッションの嵐。
前日まで、演出家は、俳優から質問攻め。
私も、3月に行われる公演の初演時、
フランス語もまだもあまりうまく話せないし、
無駄な時間をとらせても申し訳ないと思い、
なるべく演出家に質問せずにいたら、
やる気がないのかと思われて、
びっくりしたことを覚えています。
私の、死ぬほど苦手な意思表示。
演技は、まだまだでも、
口だけは、自分でしっかり所有して、
今、まだ出来ないことでも、
やりたいこと、
ビジョン、
未来を、語ることに使う。
実行が、すこし遅くなっても、
やっぱり、実行を手っ取り早く導いてくれるのは、
言動。
私の溢れんばかりのモチベーションと、
もう溢れてしまってる願望の間、
そこを流れる大きな河に、
私の口から紡ぎ出る言葉で、
丈夫な橋が架かりますように。

1件のコメント

  1. 近藤 · 2月 16, 2013

    SECRET: 0
    PASS: 750b5d5fb3f0b043054d379a92ae58c2
    すごいところで、勉強なさってて、尊敬します。
    大変ですね。
    理論は、日本人には向いていませんからね。
    頑張って下さい。
    ただ、そういうことをクリアした時。
    日本人らしさを失っている事があるので、
    その事だけは、気をつけて下さいね。
    それって、たぶん自分では気付かない事。
    あなたの詩のような文章は、素晴らしいと思います。
    才能を感じます。
    通りすがりに不躾なことを言って
    申し訳ありませんでした。

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