絶望的なことが起こったときは、
どうしたらヒロインになれるかを考える。
ドラマチックに生きるためには、不幸が必要不可欠。
と、思いつつも、今回の絶望ぶりといったら、
魚が、水中ではなく、地上で不運に遭遇したくらいのレベルで、
私に襲いかかってきました。
フランスのコンセルバトワール業界では、
2月末から、受験シーズンに突入します。
今年は、TNSこと、ストラスブールにある一番人気のコンセルバトワールの募集があるので、
例年以上に、受験者は熱くなっています。
Théâtre National de Strasbourg
http://www.tns.fr/fr/ecole/concours/concours.html
TNSの第1次試験日程は、なんと1ヶ月以上。
毎年2000人を超える受験者がいるため、
書類審査はなしで、
1ヶ月かけて、全員が招集され、審査員の前で課題を発表します。
課題:
1、古典戯曲、もしくは、ポール・クローデル戯曲
2、現代戯曲
3、自由課題
これらの3作品を準備します。
自由課題以外は、ダイヤローグが条件なので、
一人で受験することは出来ません。
私が、招集された日程は、26日午前8時25分だったので、
朝、パリを出発するのでは、
間に合わないので、
パートナーをつれて、
前日の夜に出発し、ストラスブールで一泊し、
早朝に受験。
ということで、
ホテルの手配をしている最中に、
電話!
9月から、ずっと一緒に練習してきて、
発音からアレクサンドランから演出から、
何から何まで、面倒見てくれていたパートナーが、
オーディションに合格したため、
一緒に受験を受けられないとのこと。
呆然。
当日まで、あと、2週間。
…… ……
こんなことって、あるのかな?
いや、ないでしょ?
普通。
この繰り返しを、頭の中で1時間くらいしていて、
そもそも、なぜ、一人じゃ受験できないのか、
というコンセルバトワールの受験システムにまで、
疑問を持ってしまいました。
一人で、泣いていても、何も解決しないので、
とりあえず、この泣いてるエネルギーを利用しようと思い、
思いつく限りの人に、電話をかけ、
どうにかこうにか、
5ヶ月やってきてパートナーに変わり、
2週間を一緒に始める新たなパートナーが、見つかりました。
受験って、残酷。
受験当日、
審査員は、こんなハプニングあったことなんて、微塵も思わない。
そして、
それは、舞台も同じ。
いま、舞台上にいる役者が、
どんな苦労をしてようが、
どんなに怠けてようが、
その作品が、
面白いのか、面白くないのか。
以上。
きっと、昔から、
人間は、
残酷で、
非情で、
臆病で、
そして、
儚い。
だから、
それでも生じる偶然が、
美しい。
どんなに私が頑張っても、
どんなに私が可哀想でも、
どんなに私が泣き虫でも、
その一瞬に勝てなければ、
ベストセラーのヒロインには、
なれない。
その一瞬にさえ勝てれば、
誰でも、
ベストセラーのヒロインに、
なれる。
可哀想な自分は、
めそめそして、
まわりの人に同情してもらって、
さっさと、満足して下さい。
そしたら、バイバイ。