ドラマツルギークラス、後期の課題は、
「ドラマツルギーにおけるドイツ現代戯曲」
まずは、先生から計13本の戯曲がPDFで送られて来て、
それを、授業時間外にひたすらみんなで読み合わせ。
全員一致で一押しだった戯曲が、
2008年に書かれた、
Marius von Mayenburg “Le Moche” (マリウス・フォン・マイエンブルク『醜男』)
自分では、まあそこそこかなと思っていた自分の顔が、
実は、あり得ないほど、ブサイクであると、
周囲の人に思われていたことが、ある日判明した男、レット。
彼は、美容整形を受け、
あり得ないほど、美しい顔を手に入れる…
第一回目の授業では、再度全員で読み合わせを行い、
その後、30分時間を与えられて、インターネットで出来る限りの情報を集める。
英語が出来る人は、英語サイトから、
ドイツ語が出来る人は、ドイツ語サイトから、
そして、私は、もちろん日本語のサイトから。
この作業は、実に面白くて、
言語によって、内容はもちろん、情報量が全く異なる。
マイエンブルクは、フランスでは、
オスターマイヤーのドラマツルギーを務めていることで有名。
しかし、彼自身、劇作家であり演出家であることは、
フランスではあまり知られていないみたい。
さらには、
オスターマイヤーが、使うシェイクスピアや、マルタン・クリンプの戯曲は、
すべて彼によって、翻訳されています。
まさに、超人。
どこかで、名前聞いたことあると思いきや、
2010年に世田谷パブリックシアターにて、
山内圭哉さん主演で上演されていました。
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2010/07/post_189.html
マイエンブルクの名を、一躍有名にさせたのが、
『火の顔』Visage de feu (Feuergesicht)
こちらは、サンプルが2009年のフェスティバル・トーキョーにて、
上演しています。
http://samplenet.org/works/『火の顔』/
それにしても、日本の、世界の演劇に対する情報量は、実際かなりのもので、
日本語サイトでしか見つからなかった情報をたくさん、発表することができました。
たとえば、『醜男』の公演ブログより、
『醜男』は日本で生まれた!?
http://http://setagaya-ac.or.jp/buotoko/blogs/2010/07/blog-7.html
ただ、戯曲の翻訳となると、
極端に数が減ってしまう。
日本で翻訳されているマイエンブルクの戯曲は、
ドイツ現代戯曲選 30より『火の顔』のみ。
http://homepage2.nifty.com/famshibata/verlag.html#feuergesicht
やはり、フランス語に翻訳されているヨーロッパ演劇に関する情報量の多さといったら、
かなりのものだと思う。
それは、上演されている演目も同じこと。
公共劇場では、
毎年、フランスのプロダクションとヨーロッパ各地から、
招聘されたプログラムとほぼ半々の割合。
実際、私が、今までにフランスで観た作品で、
衝撃作だったのは、スペインの作品。
アビニョン演劇祭とオデオン座で上演された、
上演時間5時間の大作、
アンジェリカ・リデル 作・演出 ”La Maison de la force”
http://www.theatre-video.net/video/swf/vqkhOqNf
この作品なんかは、スペインでは、過激すぎてどこの劇場にも、
扱ってもらえず、フランスにやって来たそうです。
そして、オスターマイヤーをはじめ、
やっぱりドイツ演劇は外せない。
本場の味がわかる「ホーム」もいいけど、
ちょっと距離を置いたところから、
フランスという、現地より熱いくて、どこか温かい
「アウェイ」で観る海外作品が好き。