エロスの巨匠パゾリーニ×自然児モリエール

昨年から継続して行われている、
木曜日の実技の授業のテーマは、
「パゾリーニからの、モリエール『人間嫌い le Misanthrope』」
ピエル・パオロ・パゾリーニと言えば、
極上変態映画、
『ソドムの市』!!!
(以下は、「糞尿地獄」の抜粋なので、食事中にはお勧めしません。)


授業でも扱った、パゾリーニの最も演劇的だと言われている
1967年は発表されたオムニバス映画「イタリア式浮気」CAPRICCIO ALL’ITALIANA のひとつである
「雲とはどういうものか」CHE COSA SONO LE NUVOLE?
をyou tubeに発見!(22分!!)
シェクスピアの悲劇『オセロー』を、
人形劇を生の人間でやったあげく、
最後はちゃっかり彼らのこと捨てちゃってます。



まずは、パゾリーニのリサーチから始まり、
授業では、彼のテキストを使って、演劇作品をグループごとに発表。
小説『石油』Petrolio(2006)
戯曲『カルデロン』Calderón(1973)
戯曲『ピラード』Pilade(1967)
フランスで、パゾリーニは、劇作家、詩人としてもとても有名だそうです。
パゾリーニのテキストにかかせないのは、
「純粋すぎる羞恥」
このテーマを他者との関係の中に、
どう埋め込んでいくかが、前期の最大のポイントでした。
「欲望」を掘り下げっていった末に残った、
まっさらな「恥ずかしさ」
例えば、舞台の上で、人前で、
裸になったり、キスしたり、抱き合ったり、すること。
役者間に生じる「羞恥」、観客との間に生じる「羞恥」、
そして、テキストとの間に生じる「羞恥」
パゾリーニのテキストは、
それを役者なんだからなんでもできる、というような乱暴な方法ではなく、
「羞恥」とつき合うことで、
繊細で、100%ピュアな出来事を一緒に探してくれる。
多分、わたしたちは、みんなタマネギ。
剥いても、剥いても、
どこか隠しておきたい部分が必ずある。
中にも、外にも。
だったら、いつまでも、その「羞恥」とつき合うこと。
役者として、
観客として、
人間として。
そしたら、なんだか、
とても美しくて、愛おしいものが、
現れてくる瞬間があって、
『ソドムの市』しか知らなかった、エロスの巨匠に敬服。
そして、後期は、このパゾリーニから抽出されたエッセンスをもとに、
フランス古典喜劇の巨匠モリエールの、
アレキサンドランによって書かれた戯曲『人間嫌い le Misanthrope』
を扱っていくというもの。
世界文学案内のサイトで、紹介されていたので、ついでにリンク。
http://blog.asahipress.com/sekaibungaku/2010/05/vol56-a6a1.html
le Misanthropeは、モリエールの戯曲の中でも、
「タルチュフ」と並んで、
やっぱり2013年現在でも超人気演目で、
どこかで誰かが、上演しているし、
受験の課題でも、みんなこぞってやりたがります。
一言で言ってしまうと、
超人間不信の男、アルセストが、
超天然魔性の女、セリメンヌに、
恋をしてしまうと言う話。
パリでは、5月に、ジョン=フランソワ・シバディエ演出により
オデオン座で公演されます。
http://www.theatre-odeon.eu/fr/2012/11/03/le-misanthrope
年始に、レンヌで行われていたゲネプロを見学させてもらったのですが、
リカちゃんハウスみたいな美術に、
コケティッシュで愛らしい俳優たち。
le_misanthrope_b-enguerand_2.jpg
フランスで、古典を扱うこと。
多分、これは、他の国とは全く異なるコンテクストの上に成り立つ、
至上の仕事なのだと思います。
そういえば、いま、パリの映画館でも、
このle Misanthropeをモチーフにして制作された、
フィリップ・ル・ゲイ監督作品『Alceste à bicyclette/自転車に乗ったアルセスト』が公開されていて、
観に行ってきました。
middle_1358477016.jpg

芸能界を去った元人気俳優に、
現役人気俳優が、
le Misanthropeの上演を持ちかける。
フィラントとアルセストの間の第一幕を5日間、
2人っきりで稽古して答えを出すというもの。
コンセルバトワールの生徒たちに、
絶対観た方がいいよ!!と言ったら、
先週公開されたばかりなのに、
もう、ほぼみんな観にいっていて、
さすが、みんな演劇オタクだな、と思いました。
ちなみに、私は筋金入りの演劇オタクです。
さて、私に先生から与えられた役は、
いつの時代にもいる、
軽ーーーーーい女、
セリメンヌ。
作品作りに入る前に、
まずは、発音の個人レッスンね、
と釘を刺されました。
やっぱり、
とりあえず、岩波文庫片手に、
オリジナル対訳台本を作成。

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