長い長い夏休み。
フランスは、まだ夏休みが終わりません。
新学期は、10月の頭からぼちぼち始まるようなのですが、
そろそろ、パリの区のコンセルバトワール(conservatoire d’arrondissement)では、新入生受験の季節となりました。
私は、6月に県のコンセルバトワール(Conservatoire à rayonnement régional)に合格したので、
区のコンセルバトワールは卒業なのですが、
演劇の場合、
ちょっとややこしいのですが、
パリのConservatoire à rayonnement régionalは、
「特別課程」という形で、
フランス全体で11校あるうちの1つである、
パリの高等コンセルバトワール(conservatoire supérieur)
L’ESAD (École Supérieure d’Art Dramatique de Paris) の付属校扱いとなります。
そして、実質的には、
区のコンセルバトワールの先生と、
ESADの先生がそれぞれの科目を分担して行うため、
必ずしも、区のコンセルバトワールより授業の質が高いとは言えません。
たいてい、区のコンセルバトワールは、一人の先生が全日受け持つことが多いので、
その分、いろんな先生の授業を少しずつ受けるより、
授業内容も安定するように感じます。
もちろん、
Conservatoire à rayonnement régionalの場合、
conservatoire supérieurの先生方の集中講義がかなり充実しているそうなので、
それは、楽しみなのですが。
そこで、私は、ついつい欲張って以前見学に行って、
一目惚れした8区のコンセルバトワールの先生に、
6月、アポをとってみました。
8区の先生は、とっても人気で、
すでに、ほかのコンセルバトワールに在学中の生徒の中でも、
8区に転校を願い出る生徒が多数だっため、
「転校試験」が行われることになりました。
つまり、1年生から新入生として入学するのではなく、
2年生もしくは、3年生から始められるということです。
私も、この受験に参加したのですが、
そのときは、試験としては受かったものの、
Conservatoire à rayonnement régionalと平行して入学することを断られてしまいました。
しかし、だからといって、
私の場合は、学生ビザがConservatoire à rayonnement régional以上でないと、
更新できないという、
大きな条件があるので、
Conservatoire à rayonnement régionalを辞退することは出来ません。
そこで、8区の先生にその旨を伝えたところ、
もう一度会って、話をしてくれることとになりました。
そして、今日がその約束の日だったのですが、
なんとしても、
私の熱意をしっかり伝えなければと思い、
以前、授業見学させてもらったときに感じたことや、
ビザのこと、
自分が、来年度、どうして行きたいかなど、
辞書で調べながら、
便箋に手紙形式に綴って、
準備して挑みました。
手紙を取り出したとたん、
今まで厳粛な印象だった先生が、豹変。
恥ずかしがりやさんなの?
と、大爆笑していました。
言い忘れることがあるといけないので、
準備してきました。
と答えると、
「なんて、可愛いの?」
と言われ、いきなり距離が縮まった感じ。
手紙のフランス語の間違いまで、丁寧になおしてくれて、
先生の方からConservatoire à rayonnement régionalの先生にも、
取り合ってくれることになりました。
人にプレゼントをもらったとき、
嬉しいのは、
プレゼントの中身より、
その人が、自分のために、
悩んで、そして、選んでくれた「時間」
たぶん、手紙もおなじ。
内容より、
その人のことを考えていた「時間」
でも、やっぱり、
パソコンの活字より、
深い深い水面下の「時間」が
すいすい澄んで、
見えやすいみたい。