今週の21日に、
パリの高等コンセルバトワール(ESAD)で行われた『Manège』(回転木馬)という公演に出演しました。
この作品は、ESADの生徒の卒業公演でもあり、
それと同時に、
劇場への作品売り込みのプロモーション公演でもありました。
この公演は4月の最初にワーキングインプログレスとして一度公演されており、
その時のキャストの一人が、
体調不良により降板になったことから、
私に、話がきて、
台本を渡されたのですが、
あまりにもパンチが効いてて、
一瞬で気に入ってしまいました。
脚本を書いた生徒は22歳で、
大学で哲学を専攻していて、
今までにも多くの作品を書いているそうです。
しかも、毎回、
観に来たお客さんに、
何か、幼少期に問題があったんじゃないか、と心配されるらしいです笑
私は、4月の終わり位から日本に戻っていて、
稽古があるなら早くフランスに戻るよ、
と、演出家にいっていたのですが、
バカンスは休まないとダメだよ!と、
いかにもフランス的なことを言われたので、
それを鵜呑みにして、
5月6日まで日本でのんびりしてしまいました。
それが、地獄の幕開け。
7日から2週間ノンストップで、
全体稽古と、発音の抜き稽古と、
さらに、私が、日本人であるままやることになったなったので、
脚本改正ミーティングの繰り返しでした。
夫が自殺して、
夫が死んでしまったことが認められなくて、
精神がおかしくなってしまった母親の役だったのですが、
私がこの役をやることになって、
日本人であることを、
自然体で話になじませるため、
さりげなく、日本語を混ぜたり、
モノローグのシーンでも、
日本語の響きを「音楽」としての効果として使えるよう、
何回も何回も、ディスカッションしました。
そして、本番。
私にとって、はじめての、
丸ごとの公演。
今までも、コンセルバトワールでのパブリックの発表会などが、
いくつかありましたが、
シーンを抜き取っての公演だったので、
90分間、
8人のメンバーと演出家でつくった作品に、
出演したのは、はじめて。
稽古でも、
とにかく、自分の意見を言わないと、
役者としての仕事を果たせない感じなので、
演技のことより、
作品に、役者として、
どうか関わるかということを常に考えさせられました。
始まる前は、死ぬほど緊張したけど、
始まったら、お客さんの反応が手に取るようにわかって、
自分の発している台詞よりも、
それに対する反応の方がリアリティがあるって、
奇跡だなあ、
とか、思いながら、
公演終了しました。
23日には、
各コンセルバトワールのディレクターや、
劇場ディレクターを招いたプロフェッショナル向けの公演が、
朝10時から行われて、
私は、みんなのウォーミングアップの適当さに、
かなり心配してしまい、
人のことは言えませんが、
やっぱり学生だなあとか、思いました笑
いかに、
朝とか、まだ身体のコンディションがとれてない状態で、
舞台に立つことの恐ろしさがわかっていない!!!
私は、臆病なので、6時前に起きました。
雰囲気的に、
お偉い先生方を前にして、
かなり厳しい環境ではあったけど、
なんとか、乗り切って、
終わったとたん、
皆さん、大満足。
そして、昨日、
この戯曲は、リヨンのコンセルバトワールのに、
最難関と言われている、
劇作家部門があるのですが、
そこの1次試験を通過しました!!
私は、
この作品が、
これからも、動いていくだろうな、と確信しているし、
もう、多分その責任の一部を一緒に背負っている感じです。
公演後の、客だしは、
日本でもフランスでも、
本当に幸せなひとときでした。