パリ国立の一次試験が終わりました。
パリ国立の一次試験は、3月5日から16日まで。
私の順番は、今日、第一日目の最終でした。
基本的に、試験の日にちは選ぶことは出来ないのですが、
私の相手役が、明日3月6日からアルゼンチンに演劇修行にいってしまうので、
学校側に3月5日を頼んでみたところ、
あっさりOKが出ました。
フランスのいいところは、とにかく交渉次第で、
どんな物事も動いていくこと(笑)
どうして、一次試験の日程がこんなに長いのかしらと思っていたら、
受付のお兄さんが、
「今年の受験者は2100人です。」
と、言っていました。
そのうちの1300人が女性だそうです。
やっぱり、日本でもフランスでも女優の方が倍率高い?
第一次試験の課題は、全部で4つ。
しかし、そのうち発表するのは2つでそれは当日、
試験官によって指定されます。
私の演目。
1、アレクサンドラン:ヴィクトル・ユーゴー『王は愉しむ』(オペラ『リゴレット』の原作です)
2、古典戯曲:ポール・クローデル『交換』
3、現代戯曲(1960年以降の作品):三島由紀夫『熱帯樹』
4、自由作品:『外郎売』(歌舞伎十八番)
呼ばれて、相手役2人と、
3人で、教室の部屋に入って行くと、
なんと中世のミニシアターのようになっていて、
お城の一室のようだったので、
思わず、
「こんな素敵なところでやっていいんですか?」
と、聞いてしまいました。
審査員は全部で5人。
今日だけでも、私で50人目なのに、
びっくりするほど感じがよくて、
こちらまで、自然に笑顔になりました。
噂通り、一つ目のシーンは自分で選択。
一番、自信があったのは、
自分でアレンジしたハイパー『外郎売』だったのですが、
さすがに、いきなり日本語でやるのもおこがましいと思って、
三島由紀夫の『熱帯樹』を選択。
私が飼っていた小鳥を殺すシーンなのですが、
昨日の深夜に思いついて、
鶴を80羽ちかく折って、
最初にばらまいて舞台美術にしました。
とにかく、衣装も舞台もシンプルに。
さすがに、極度の緊張…
2つ目に、試験官から指示されたのは、
まさかの『交換』
これも、噂で、
今年から国立のコンセルバトワールではアレクサンドランのシーンを発表することが、
絶対だと聞いていたので、
鵜呑みにして、
一番、発音もアレクサンドランも練習した『王は愉しむ』は、
指定されるだろうと思っていたのに…
残念だけど、
人生こんなものですね。
『交換』の役は、
女性二人のシーンで私の役は、
相手の夫を寝取った熟年女優の役。
フランスの演劇界では、誰もが知っているであろう有名なシーンだったので、
知らないことをいいことに、
既存のイメージをぶちこわしてやろう、
と挑みました。
そしたら、なぜか、コメディになってしまった。。
これで終わりかと思ったら、
試験官から、
歌舞伎の口上も、やってもらっていいですか?
と言われたので、
嬉しくて、
衣装を着替える時間ももったえなかったので、
セクシーなワンピースのまま、
正座して、
『外郎売』をやりました。
フランスでは、とにかく、
「演じる」技術よりも、「語る」技術を求められているように、
日頃から感じていたので、
まずは、フランス語で、
「紳士、淑女の皆様、こんばんは。
今日は、皆さんにこの奇跡的な薬をご紹介したいと思います。
この薬を飲むと、なんと滑舌がよくなります!」
と、しっかりと試験官ひとりひとりとコンタクトをとってから、
日本語のテキストに入りました。
あの5人の集中力の中でやる「外郎売」ほど、
気持ちのいいものはなかったです。
これが、観客としか起こすことの出来ない、
化学反応なんだな、
と、改めて実感しました。
終わってから、
フランス語、いくつか質問されて、
台詞以外のフランス語は、もっと頑張らないとね、
と、言われてしまいましたが、
(おっしゃる通り…)
最高のパートナー2人と、
稽古して稽古して、
一緒に試験が受けられたこと。
悔いなし!!!
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いよいよ始まりましたね。
頑張って!
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