ずいぶん、時間軸がずれますが、
先週の水曜日に演出家ワークショップ全30時間、
無事に終了しました。
あんまり、
個人的な感情とか感動とか、ブログに書きたくないのですが、
フランスに来て、コンセルバトワールに入ってから今まで、
自分がなんで、フランスで、しかもフランス語で演劇勉強してるのか、
全くもって謎だったのですが、
(経験とか、充実とか、そういうことはおいといて。)
本当に初めて、
フランスで演劇勉強してよかった!!!
と、思えました。
最終日は、1時間の全体フォーミングアップのあと、
久しぶりの「抱きしめ合う」エクササイズ。
10人全員で、空間を歩いて、
どんどん身体をひらいていって、
お互いに認識したと感じた瞬間に、
立ち止まってゆっくり抱きしめ合います。
このエクササイズにはバリエーションがあって、
自分の認識する空間をどんどん広げていって、
なるべく遠くの人と、
意識がクロスした瞬間、
同時に走り出して、
二人の中間で、
抱きしめ合ったり、
言葉を交わしたり、
というパターンもあります。
今日は、とにかくゆっくり大切に誠実に、
「相手」そして、「全員」を感じる。
これが、学校が始まった当初は、
どうにもこうにも抵抗ありまくりだったのですが、
今日は、全員と「恋人」になったような感じでした。
そして、3時間の個人作業のあと、
最終ショーウィング。
最終ショーウィングだからといって、全員発表できるとは限らないので、
もちろん、早い者勝ち。
私は、この掟に従って、3日間毎日その日その日の作品を発表しました。
今回、試したかった一番のこと、
「観客」とどう関係性をとるか、
ということが、
一人で稽古していても、なかなか試せないことが多かったからです。
フランス人の観客だから、
私が外国人だから、
見えてくる課題や可能性が、
どんどん溢れてきて、
もちろん完成はしていませんが、
「私の演劇」って、ここなのかしら?
と、いままで0,1㎜くらいづついろんな方向に対して持っていた思考が、
ふっとまとまって2㎜、3㎜くらいになりました。
逆に、皆の作品を観ていて、
日本にいないと確実に生まれないであろう演劇観というものも、
明確に見えてきました。
今の、日本の演劇(小劇場)界の身体への関心、
これは、日本の最強の強みだと思います。
毎回授業の最後に、
フィードバックとして、
それぞれの作品に対して、全員でディスカッションを行うのですが、
そこで、いつも質問されたり、関心を持ってもらえたのは、
「身体」の扱い方についてでした。
もちろん、私にしてみれば、
大学時代から、当たり前にやっていたことだったりするのですが、
かなり掘り下げられた。
3日間、30分近い作品を一人で、
26個の目の前で、
発表して、
演劇という芸術の構造の恐ろしさに震え上がりました。
怖い。
本当に、怖い。
でも、常に、28個の目を手に入れる可能性を持っていて、
その「強度」を想像して、
観客である皆のことを、
そっと、それから、ぎゅっと、抱きしめて、
とても穏やかなのに勇敢な気持ちになって、
こうやって、
観客に触れればいいのか、
と、少しだけ思いました。
3月にワークインプログレス、
6月に本公演です。
ちなみに、先生は、いつも私の作品の話をするとき、
『おかしな人間の夢』、
じゃなくて、
『おかしな香子の夢』、
と呼んでいました。