大好き、演出選抜クラス。

コンセルバトワールの授業は、大学のように必修科目と選択科目に別れています。
必修科目は、基本的に、実技15時間+身体訓練3時間(ヨガなど)からなっており、
その他に、選択科目として、ダンス、歌、理論、演出、古典戯曲、現代戯曲などなどのクラスを選択できます。
各クラス基本的に、準備が必要なのでとりすぎると大変なことになるそうです…
選択科目は、基本的にすべてのコンセルバトワールの生徒が好きに選ぶのでコースによっては、
学年で制限されていたり、オーディションがあったりします。
私が選択した、演出の授業は2年生以上しかとれないことになっているのですが、
先生が人気で、定員20人のところ初回45人近く登録に生徒が集まってしまいました。
そこで、一回目の課題によって生徒を絞るとのこと。
課題は、ドストエフスキー『地下室の手記』…以上。
スクリーンショット(2011-10-08 15.28.35)
この本を読んで、5分から10分程度の作品を作ること。
『地下室の手記』は、ドストエフスキー文学を解く鍵とも言われているほど、
重くて、暗くて、どん底な、狂った人の話。
「ぼくは病んだ人間だ……ぼくは意地の悪い人間だ。およそ人好きのしない男だ」
だって、オープニング、これだもん。。
読めば読むほど、わけわかんなくなって、
日本語訳が見つかりませんでしたって言おうかなって思ったけど(ズル)、
とりあえず、最後までいったらこのこの狂った主人公がやっぱり本当に狂ってるのか、
それともこの狂った文章を一生懸命読んでる私が狂ってるのか、わからなくなって、
しまいには、こんな粋な文章に出会って、
「それにしても、諸君が、ただ正常で肯定的なもの、
つまりは泰平無事だけが人間にとって有利であるなどと、
どうしてまたそれほど頑固に、
いや誇らしげに確信しておられるのか?
いったい理性は利害の判断を誤ることはないのか?
ひょっとして、人間が愛するのは
泰平無事だけではないかもしれないではないか?
人間が苦痛を同程度に愛することだって、ありうるわけだ。
いや、人間がときとして、おそろしいほど苦痛を愛し、
夢中になることさえあるのも、間違い無く事実である。
この点なら、何も世界歴史など持ち出す必要は無い。
もし諸君が人間で、
たとえわずかとも人生を生きた経験があるのならば、
自分の胸に聞いてみるがいい」

みんなで、輪になって座って、バッハの音楽にのりながら、順番に、
冒頭部分の「ぼくは病んだ人間だ……ぼくは意地の悪い人間だ。およそ人好きのしない男だ」を叫ぶという演出を思いつきました。
牛タンゲームを始めるときの、イエーイ!!っていうイメージ(?)
で、果たしてこれをうまくみんなに伝えられるか…
よく、15区の授業でも自由創作というのがあって、
一人でやってもいいし、
もしくは、自分で考えて来たプランをその場で、他の生徒に、
「おてつだいさん、○人お願いします!」
といって、一緒に作品に出てもらうっていうシステムがあるみたいです。
で、これを一度わたしもやってみたかったので、
12人お手伝いさんお願いします、といって、
かたことの初演出。
劇場の関係で、ipodがつなげず音楽がかけられなかったので、
急遽、みんなで床や体をたたいてリズムを刻むことに変更。
そして、みんな一発で理解2分後には本番!!!
…完璧。
そのシーンのあとに、私が超下手なフランス語で超笑顔で上記の抜粋部分を読んだ。
なんで、日本人がフランス語読んでるんだっていう狂ってる状況を肯定したかった。
というか、なんでもかんでも、
この世に起こることすべて肯定したいと思います(笑)
皆さんの理解の良さと柔軟さと役者としての責任感に拍手…
これは、みんなに大して思うことなのだけれど、
ステージに上がって、作品が始まっちゃってからの動じなさがとにかくすごい。
説明がわかりきってなくっても、絶対にうろたえない。
作品を発表すると、なぜか、みんなすぐ仲良くなるから不思議。
先週は、めっちゃとげとげしかったのに。
演劇って、素敵。

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