エロス文学の巨匠、澁澤龍彦の元妻である、
矢川澄子さんの長編小説です。
めっちゃ、美人…!
このマッシュボブみたいなヘアスタイルがめちゃめちゃ似合う彼女だからこそ、
書けた言葉であり、文章であり、物語だったと思います。
「少女」と「兎」
小学校の時、
わたしたちは、
うさぎさんは、さみしいと死んじゃうって本気で信じていて、
そうじ当番はサボっても、うさぎ当番は絶対サボりませんでした。
というか、サボれなかった。
たぶん、あの頃、
わたしたちも、
感覚的に「孤独」というものの恐ろしさを、
一番理解していたんだと思います。
忘れ物をとりに戻った、
放課後のだれもいない教室。
買い物に出かけたお母さんを、
見送ったとたんの家の広さ。
楽しみでしょうがなかったお泊まり会で、
自分一人だけ、どうにもこうにも寝つけなかった友達んちの布団の中。
「少女」と「兎」
やっぱり、孤独がしっくりくる。
なぜか、かたくなに寄り添うことを選ばないように、
思えてならないのです。
神さまは兎のすべてでした。
とにかく神さまが好きだったから。兎は、どんなに苦しくても孤独でも美と純粋を求めつづけたのでした。少女文学の真骨頂。 【解説: 千野帽子 】